まちづくり

民間企業に選ばれるまちになるには

自治体は人口の奪い合いに加えて、企業の奪い合いにもなるという話をしました。(行政が提供できるお金の種類は3つ。

私が述べているのは、企業誘致、本社移転といったことではなく、企業というノウハウの奪い合いになるということです。

すでに企業の誘致合戦というのは10年以上前から行われており、企業誘致条例などを作っていますが、税制優遇程度では、移転をするメリットにまでは至らないというのが結論だと思います。

豊田市のような企業城下町をつくるという決断ができないと厳しいのではないでしょうか。

もちろん、企業本社が来るというのは良いことですが、民間企業は人材不足になっています。

さらにいうと、自治体案件というのは、必ず一定程度の収益をあげられる案件という認識から、営利性の低い事業まで広く民間企業の参画を求めるようになってきていて、手放しで飛びつけない状態になっています。

民間企業としては、より利益を上げられるまちの方が良いわけですから、そのような事業が多いまちに多くの企業がコンタクトを取ろうと思うのは当然です。

幸い、情報の非対称性というか、このまちが儲かるというようなランキングはありませんし、そのような宣伝をするところもないので、今のところその競争というのはあまり激しくありません。

実は、地方交付税交付金というものがあり、税収が少なくても人口や面積規模などの条件で一定程度の国からの補助金が入るという仕組みがあるので、体力のある自治体とそうでない自治体の差が見えにくくなっているというのもあります。

総務省の平成30年度 不交付団体の状況を見ると明らかですが、都道府県だともらっていないのは東京都のみ、市町村も78しかありません。

話がずれてしまいましたが、交付金がある限り、どの自治体にも一定のビジネスチャンスがあることは変わりません。

加えて、地方創生やSDGsなど先進的な取り組みを行おうとする自治体にも補助金が出やすくなっています。

国としては、やる気のある自治体は伸ばすという方針で、そういった自治体をチェックするのは一つの方法です。

ただ、企業としては自身の取り組みが予算をかけてやってもらえるのか、その確実性というものも重視するので、広くPRして、企業を募集するというのはあまり望ましくありません。

むしろ、このような企業に来てもらいたいという意識を持ったうえで、複数の企業に個別にコンタクトをとるというようなことが大切になってくると思います。

まだまだ行政は公平性の観点から、自分から企業に声をかけるところは少ないです。

企業から自治体に営業に行くというのはすでに多く行われていますが、それは受け身のプロデュースで、せっかくなので、この企業のこの技術で取り組みをしようという攻めのプロデュースでまちを作っていくのが面白いのではないでしょうか。

企業に選ばれるというよりも、企業を選んでいき、結果として選ばれるまちになるというスタンスが良いのではないかと思います。

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