行政

自治体がFIREしてはいけないのか

FIREというのは、Financial Independence, Retire Earlyのことで、経済的自立や早期退職と言われています。

これは個人についてのことですが、自治体が目指してはいけないことでしょうか。

私が自治体でFIREと言っているのは、その状態になれば、税金を徴収することなく自治体が取り組みを行えるようになるのではないかと思ったからです。

自治体は政策的経費というオリジナリティある取り組みを実施するお金と義務的経費という毎年最低限かかってくるというお金に分かれます。

この義務的経費の部分をFIREすれば、そのまま税金を徴収し続けても、オリジナリティのある取り組みに大きな金額を投入できるようになるので、とても良いのではないかと思います。

しかも、近年はこの義務的経費の負担が非常に大きく、政策的経費の自由度が非常に少ないということがどの自治体も抱えている課題かと思います。

それを解消するという意味でもありなのではないかと思っています。

10年以上前ですが、一時期減税条例というものが話題になり、自治体の中では税金を下げていこうという流れがありました。

杉並区では、予算の一部を積み立てて運用することで、減税していこうということで取り組みをしていました。

杉並区減税基金条例として成立したようですが、区長の変更に伴い廃止されています。

しかし、最近ではFIREという言葉が出てきたように、個人で経済的な自立を目指したいという人が増えています。

減税条例が出てきた後にNISAが生まれたりとしているので、この取り組みに対して、理解ある人も増えてきているのではないでしょうか。

むしろ、貯蓄から投資へというものを推進するのであれば、自治体もそういった取り組みをしても良いような気がします。

個人でリスクを負うのか、自治体としてリスクを負うのかという違いにはなってきますが。

ご存知かとは思いますが、自治体はそもそも貯蓄という考え方がなく、単一年度の予算を使い切ることが前提となっています。

それは税金を収めた人たちにそのお金を還元するという考えからだと思います。

そうではありますが、たとえば公債の発行を考えてみると、これはその単年度の予算では賄えないものを将来の世代にも負担してもらうことです。

これは、これは建物を建てるなど、将来世代にも恩恵があるものだからという根拠があるものではあります。

ただ、その建物も老朽化したり、十分使われずに廃止されるといったリスクはあるわけです。

そうであれば、税金を将来のために投資にまわして、将来世代の負担減、もしくはさらなるサービスの充実に回すということも考えられなくはないのでないでしょうか。

自治体が難しいのはいろいろな世代の人たちで構成されているということです。

つまり、今60代の人はこれから減税に向けての積立を初めても、その享受できる利益というのは10歳の人に比べると低いということですね。

年配の人ほどこの政策についても理解を求める必要があるかもしれません。

また、自治体FIREが成立したとなると、多くの人が転入してくることにもなると思います。

その場合は、ずっとその自治体に暮らしていた人は損をしたように感じるかもしれません。

というのも、FIRE前は他の自治体で払っただけのお金のサービスの提供を受けて、自治体FIRE後にはその自治体に入れば、より良いサービスを受けられるようになるからです。

そういう意味では、自治体FIRE前も後も継続して税金を徴収し続けるということは必要そうです。

となると、自治体FIRE前と後では税金の用途が大きく変わってくるのではないかと思います。

まず、減税でその恩恵を受ける所得がある人、つまり働いている人の転入が増えると思います。

所得がない人にとっては、転入のメリットはあまりない形ですね。

そうなると、高齢者の転入を促すには、FIREによって潤沢に使えるようになった予算を高齢者施策に充てるという形にするかもしれません。

FIREしてしまうと、政策誘導がよりしやすい状態になるのかもしれませんね。

デメリットについても考えてみたいと思います。

1つは、何と言っても運用リスクです。

株の暴落など、投資にはリスクがつきものなので、なにかあった時に影響が出るかもしれません。

その点では、FIREした後に減税をするのではなく、税金は徴収し続けるということが良さそうです。

あと、運用には証券会社などが入ると思うので、その運用手数料によって元本割れするリスクというものもあると思います。

自治体(法人)の場合は、個人よりも手数料が高くなるような気もするので、そのあたりも考慮しなくてはいけません。

2つめは、FIRE達成前の転出リスクです。

FIRE達成後は転入者が増えるかもしれませんが、それまでは税収の一部を使わずに積み立てるので、サービスの質は落ちることになります。

それを嫌って転出する人が出てくるかもしれません。

個人でもたとえば、収入の1割を積み立てようと思ったら何かを我慢する必要があるかもしれず、そういった点では自治体も積み立てる際には我慢することがでてくると思います。

3つめは、未達成リスクです。

自治体は首長が選挙で選ばれますので、積み立てに反対する首長が出てきたら政策が終わります。

一方で積み立てには数十年という年月が必要になるため、その間ずっと理解のある首長が在籍するかということは誰にも予測ができません。

個人でもなにか急にお金が必要になったり、事情が変わって積み立てをやめてしまうこともあると思います。

景気が変わったりすると、こんなに大変な状況なのになぜ今使わず、将来のために積み立てをするのかといった意見も出てくる気がします。

実現できるかどうかは、一定期間の年月と状況に左右されない固い意思が必要になってくるので、この点が最も難しいところかもしれませんね。

 

ふと思いましたが、自治体にお金や物で寄付をする人が報道されることがありますが、それを証券で寄付してみるのはどうでしょうか。

それは使わずに運用をし続けてもらいたいということで寄付を指定してもらえば、自然と増えていくような気がします。

人口が少ない自治体であれば、個人の寄付でFIREが出てきてしまうところもあるような気がします。

ふるさと納税でFIRE用資金にということで集めてみるというのも面白いかもしれません。

そういった指定寄付であれば、税金の一部を積み立てるわけではないので、住民の理解を得やすい気がします。

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