生涯活躍のまちはシニアの移住ということですが、シニアにとって地方はどのような魅力があるのでしょうか。
2018年3月に総務省から「田園回帰」に関する調査研究報告書が出ましたので、そこから見てみたいと思います。
こちらは、都市から過疎地域への移住を国勢調査をもとに行ったものです。
2000年から2015年までの国勢調査からの流れで追っているのですが、まず認識すべきは過疎地域への移住者は減少傾向にあるということです。
これは人口の減少が前提にあるので当たり前で、移住者全体に占める過疎地域への移住の割合に変化はないようです。
そのため、地方移住の熱というのはこれだけ移住ということが言われても、熱くなってもおらず、冷めてもおらずという状況だということがわかります。
もちろん、これは2015年までなので、ここ3年で変わってきている部分もあると思います。
特に、この3年で変化したのは、シニアの移住よりも20代、30代で移住を考える人が増えてきたという点です。
ここでも指摘されている通り、20代、30代は社会移動の主な年齢層なので、ここの層が変わると変化が出てくるかもしれません。
話を戻し、シニアの移住ニーズについて見てみましょう。
こちらは、移住をした理由を年代別に集計したものです。
1位は気候や自然環境というところで納得です。
2位になると50代ではそれまでの働き方、暮らし方を変えたかったから。
60代では静かなところで暮らしたかったからということが理由になっています。
それまでの働き方、暮らし方を変えたいというのは、20代、30代でも多く見られ、これは仕事の仕方を中心としたライフスタイルの変化を希望しているということだと思います。
50代になると、定年も見えてくるため、早期退職をして定年後より充実した生活をするために動けるうちに移住しようという思いもあると思います。
次に、移住する際に重視したことについて年代別で見てみましょう。
年金のない50代が仕事について気にするのは当然として、2位は災害が少ない地域であることを挙げています。
これは、年齢が高くなると避難のストレスなどが大きいということだと思います。
実際に移住の相談を受ける際に、この点を気にする人は多いです。
そして、60代では医療・介護ですね。
これは目の前に直面した課題で気にしている人はとても多いです。
佐久市の場合だと、医療が充実しているからという理由で移住をしている人もいるほどです。
これらを見てみると、自然環境が豊かという点では地方は差別化できないので、災害の少なさ、医療・福祉の充実というのがシニアの移住には効果的なようです。
プラスアルファで50代、60代ともに知り合いができたり、生活できるめどがたっていることというのも他の世代に比べて高いのが大きな特徴で、そういった点で、移住前から知り合いをつくる、コミュニティをつくるということをして、その後移住という取り組みは効果的であるとわかります。