伝統工芸士が高齢化していて、継ぎ手がいないから大変だという話が聞かれます。
せっかく伝統工芸としての技術があって、またそれで生活をしていけているということなので、その技能を引き継げないともったいないという思いが私にもありました。
そんな想いで、伝統工芸の方々とお話をしていて、気づいたことがあります。
それは、もったいないとか、寂しいといったのは外部からの想いだけということです。
商店街はシャッターにしているのは、商店主はすでに土地、建物は自己所有で借入もなく、お店を開かなくても十分生活ができる状況になっているからです。
もし、お店を継いでもらうとすると、人を雇う必要がありますが、それだけの稼ぎをあげることはできません。
また、自分の家で行っているところに他の人が来るというのも居心地が悪くなります。
商店主にとってはあまりメリットがないわけです。
もちろん、シャッターが続くと寂しいというのはありますが、自分以外のところがお店を開けてくれれば良いのにというのが本音です。
伝統工芸についてもそれは同じのようです。
現状では自分が生きていくだけの稼ぎを得ることはできる。
しかし、それを継承するには人を新たに雇う必要があり、その人を雇うにはその賃金を稼ぐだけより多く働かなくてはいけません。
技術を継承したからといって、自分にとっては何のメリットもなく、ボランティア精神で行うのであれば、継承せずに自分で終わりにした方が手間がなくて良いということです。
ある種の独占業種なので、自分ひとりが生きていくには困らないが、市場規模も大きくないので、人を雇うほどではないという状態です。
もし、より売り上げを伸ばそうとするには、新たな市場開拓が必要なわけですが、そこまではやりたいと思わないといった人がほとんどになります。
伝統工芸がなくなるのは後に残される人にとっては寂しいですが、本人にとってはそこまでして残すものでもないかなといったところというのがあるのではないでしょうか。
これを解決するには、
- 後を継ぐ人の人件費を負担する。
- 新たな市場を提供して雇用するニーズを創出
- 事業を継承することで、その売り上げの一部が収入となるようなインセンティブを創出
といったところでしょうか。
3は株式会社であれば株を所有しているので配当をといったことも可能だと思うので、まずは個人事業主の法人化を促すというのも一つの方法なのかもしれません。