まちづくり

自立のタイミングをどう決めるのか

私が行政に入った理由は、市民参画、市民協働というものをやりたいからでした。

行政としては、市民の主体性を促して、市民が自立して主体的にまちづくりに関わってもらえる状態を作るのが良いと考えたからです。

そして、今は逆の立場になりました。

というのも、なかなか主体的に動いて、自立していこうという気持ちになる人は少ないからです。

実際にやってみると、自立するにはそれなりの努力が必要で、楽しいことだけをずっとやっていれば良いというわけにはいきません。

特に行政の活動がきっかけというのは、自身で関心を持ってはいても、それを夢中で永遠にやっていけることかというと、必ずしもそうではないものが多いのではないでしょうか。

私もこれまでもそれなりの数の活動に参加してきたという自負があります。

特に職員の時からそうでしたが、1回だけで終わらせたくない、実際に参加したからには何かしらの実績を残したいという思いがありまして、声をかけてもらったからには投げ出すような無責任なことはしたくないという思いがありました。

ただ、最近は声をかけていただくことがかなり多くなっていて、なかなか時間が割けなくなってきました。

そうなると、ここで一歩踏み込んでおいた方が良いというところでそれができないということが起きるわけですが、そんなときに問題となるのが自立です。

行政は支援の期限を区切ったり、公平性の観点から何かしらの理由がないと支援ができないという立場に立たざるを得ません。

これが仕事であれば、期限内に実現するよう努めるのは当然ですが、ボランティアとなると、期限を区切られてしまって、その期限内には自立ができないということも出てくるのではないかと感じているところです。

行政としては、初めに期限を定めているのだから、その通りにしてもらわないと他の市民の説明がつかないということになると思いますが、ボランティアにそこまで求めるものなのでしょうか。

もしかしたら、期限の間だけ続けば良いという思いもあるかもしれませんし、十分な期間を設けているのにそれまでにできなければ仕方がないという思いもあるのかもしれません。

行政としては3年ぐらいの期間を設けているところが多いので、そのぐらいであれば十分かもしれませんし、私もボランティアのモチベーションは2年だと思っています。

2年を超えて継続するには、想い以外の何かしらのモチベーション維持の環境が作れないと厳しいです。

私が言っているのは、お金だけの問題ではないんですね。

たとえば、何かのワークショップで生まれた活動があったとします。

その活動は、自治体が主催したワークショップなので、市の広報に載せてもらったり、支援を受けられると思います。

ただ、それが担当者が変わったり、その事業が終わってしまったりすると、その支援は受けられなくなるということがままあります。

そうなると、市が主催したものから生まれたのに、なぜ市が協力してくれないのかという話になってきたりもします。

実は、ここの部分が非常に大切で、活動している人というのは異動はないわけで、それを引き継げない行政が人材を捨ててしまうわけですね。

市側としては、すでに終わった事業で生まれた活動をいつまで支援し続けるのかということになるのかもしれませんが、そこは市民活動の部署に引き継ぐなど、市側で体制を整えておくべきところです。

実際に、それができている自治体もあって、そうなると、市民との協働体制というのは長く続いていくのではないかと思います。

今、活動として続けることができている団体があるとすれば、それは団体側が担当部署以外の部署にも顔を出して、広く協力してもらえる体制を作る努力をしたからだと思います。

これから、もし行政側の体制が整えられていくと、救われる活動もあるのではないかと思っています。

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