官民連携をつなぐ役割としてのバランス感覚

多摩市を退職する時は全く思いもしなかったことですが、自治体職員としての経験というのは、非常に役に立ちます。

というのも、近年ではオープンイノベーションということで、さまざまなアクターが連携をしながら取り組むことが大切なのですが、行政の考えが理解できていないと一緒に取り組むことは非常に難しいからです。

もちろん、単年度予算であったり、職員の異動があるといった制度的な部分を知っておくことも大切ですが、最も大切なのは、行政職員としての基本理念の部分だと思います。

税金と使うということ

ほぼすべての自治体職員の立たされる環境として、財政難というものがあります。

行政はできるだけお金をかけずに地域振興、住民の福祉の向上を図っていきたいと考えるのが基本です。

単年度予算ということもあり、投資と回収といった考えにはなりません。

民間であれば、投資額が多ければ回収できる金額も大きくなるというのは説明がつきますが、行政の場合は税金を使うため、投資額が大きくて失敗した場合のリスクを重視します。

そのため、かなり強いリーダーシップがないとなかなか額の大きな投資はできません。

職員として強い思いは持っていても、できる範囲に限界はあるということです。

逆に言うと、普通の職員の人たちに大きな投資をと言って予算化できるかというと、かなり厳しいと言えると思います。

一方で、大きな投資が可能な環境を作れている自治体というのは、非常に強いと思います。

税金は自動的に入ってくるお金で、民間としては簡単に使えるお金と考えがちです。

しかし、それを使う側の立場からすると、強制的にもらっているお金だからこそ、慎重に使わなくてはいけないものだと考えます。

また、強制的に徴収するものだからこそ、客観的な公平性というものも重要になります。

民間だとこれがないのでスピード感を持ってできるのですが、地域という限られた場所での活動だからこそ、一定程度の意識はしておく必要があると思います。

市民主体

もう一つは、市民主体ということです。

行政が自ら事業を行うことができなくなったため、住民の参画を重視するようになっています。

お金という意味では、行政が動くのではなく、住民に自ら動いてもらうことで経費の削減にもなるといった意味でつかわれたりもしますが、大切なのは住民の意見、ニーズに基づいた事業を行うという点です。

これは、ただ単に声があるだけでは弱くて、何かしらの活動を行っているということまで求められることが多いと思います。

たとえばですが、イベントを実施するために補助金をもらいたいと思ったときに、初めてやるイベントよりも補助金なしですでに1度実施しているイベントの方がもらいやすいです。

これは、初めての団体に信頼がないということもありますが、行政としては補助金がなくても継続し続けられることを大切にするという点もあります。

補助金の支給年が3年など限定されているのはそういった点もあります。

少し話がずれてしまいましたが、口だけの市民ではなく、汗もかいている市民が求められるということでもあると思います。

もちろん、汗をかきたくてもかけない人もいるかもしれません。

人それぞれできる範囲のものを行うということが大切ですし、汗をかく選択肢を行政側でも増やしてきています。

もちろん、民間には民間の論理があります。

行政と民間の論理のバランスをとることが大切で、これは双方の論理を理解できていないとなかなか難しいのではないと感じているところです。

行政に求められる力

年明け早々、「これからの地方自治の教科書」(大森彌、大杉覚)の本を読みました。

題名から想像すると、これからの地方自治の未来について語っているのかと思ったのですが、地方自治の現状の解説が中心でした。

しかし、現状を把握してこそ、将来像についても考えることができるものです。

また、現状とは言っても、先進的な取り組みは将来を表すともいえるので、そのような点が把握できたのも良かったと思います。

中でも行政と民間をつなぐ中で、大切な3つのポイントが挙げられていて、①民間を見抜く力を強める②民間の行政化に気をつける③別の民間を圧迫しないようにするということでした。

民間も大企業だからといって安心できるものではないですし、せっかく民間の立場なのに行政と同じような仕組みにしてしまっては意味がありません。

一方で、限られた地域での取り組みになるため、民業圧迫の危険性については把握しておく必要があるということでした。

特に3点目については、民間からすると、競争原理に淘汰されるのであるから仕方がないと言えなくもないのですが、行政という権力が圧迫はしてはいけないということなのだと思います。

これに関連してですが、昨年から銀行法が改正されて、地銀がさまざまな分野に進出ができるようになっています。

金融というバックボーンを持っている中で他の業種への参入をすることができると、非常に強い存在になると思います。

もし、そんなことができる組織ができたらすごいですね。

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