行政

公務員の途中退職を防ぐための手法

公務員は入庁1年目の職員に対しても年間1000万円の経費がかかっていると言います。

これは、給与だけでなく、研修費の部分も含めたところのようですが、終身雇用を前提としている公務員としては、入庁すぐにしっかりと研修をして、長く勤務をしてもらうことで初期の研修を有効に活かすといった考え方になるのは当然かと思います。

これは、大企業も同様ですね。

ただ、最近は数年で退職してしまう職員も多く、それが自治体にとっては課題になっているようです。

そういう私自身も5年とちょっとで退職しているので、もともといた多摩市には5000万円の借金を負っているという意識があり続けています。

自治体職員の退職パターン

公務員、とくに自治体職員を退職した人というのは珍しく、やめた人同士でのネットワークというものが存在します。

退職者でも、市町村といった基礎自治体から都道府県の広域自治体へ転職といった他の公務員への転職というのは多いのですが、民間企業、起業といった人は少数派です。

また、ほとんどの場合は、既存の職場に不満を感じて退職という人で、仕事に充実感を覚えていて、新たなステップのために退職するというのは非常に少ないと思います。

私は公務員退職後に起業で、かつ当時の仕事に充実感を覚えていたポジティブな退職だったため、かなりのレアケースではないかと思います。

しかし、そんなポジティブ退職というのが最近は増えているのではないかと感じているところです。

おそらく、そういった人のほとんどは優秀は職員だとみなされていて、人材が外部に流出することは、残念だと自治体側も感じているのではないでしょうか。

途中退職を減らすための方法

では、そういったポジティブ退職を減らすためにはどうしたら良いのでしょうか。

私は、まずは減らそうと思わないことからはじめてはどうかと考えています。

むしろ、ポジティブな退職を応援してはどうかなと。

最初に述べたとおり、私は多摩市5000万円の借金を負っていると認識しています。

そのため、多摩市に何かしら貢献しないといけないなと考えていて、今でも地域活動をしたりしています。

おそらく、ポジティブに退職をする人というのは、育ててもらった職場に感謝の気持ちを持っているはずで、そういった想いを大切にするのが良いのではないかと思います。

数年働いていると、親しい同僚、同期はいるはずで、そういったメンバーと連絡を取り続けられているというのも大きいと思います。

同じ公務員として恩を返すにではなくても、市民として会社員としてなど、他の方法で関わってもらうことを考えてみてはいかがでしょうか。

課題としては、公平性の観点から元職員だからといって特別待遇はできないということですね。

特に予算が関係してくることは元職員側も気をつけた方が良いと思います。

むしろ、予算に関係のない部分の方が活躍できる場が多いのではないでしょうか。

ただ、予算に関係ないからといって、元職員としての立場を利用して面倒な市民になるのは避けたいですね。

退職すると、いろいろ見えてくることはあるのですが、そのあたりは職員側の考えも理解しながらといった形を心がけています。

退職するからこそ見えてくること

実は、退職するといろいろ見えてくることがあります。

そして、それは退職した人でないとわからないことだと思います。

たとえば、私は退職した瞬間、肩の力が抜けました。

それまでは公務員として恥ずかしくない行動をしなくてはいけないという思いがあって、無意識の緊張があったのだと思います。

実際、市民からは職員が信号無視をしていたとかいった部分の連絡が役所にあることもあり、そういった細かい部分で気を使う必要があったのだと思います。

特に、役所のイメージを良くしたい、信頼を回復したいと思っている行政職員ほど、そういった意識は強いのではないでしょうか。

ワークライフバランスとは言いますが、仕事とプライベートを分けにくいのが公務員です。

これは非常に些細なことですが、退職を伝えたときの組織の初動やその後の対応についても、そこが変わっていれば退職を防げるということもあるのではないかと思います。

たとえば、私は中国留学がきっかけで退職していますが、退職の1年以上前に人事課に相談していました。

特に職場に相談せずに、留学の奨学金を受けたら受かったので、行けるかどうかを確認した感じです。

その時は留学は仕事に活かすためという思いだったので、休職をして留学に行きたいと思っていたのですが、制度がないので休職はできないことがわかり、断念しました。

しかし、1年考えて、もう一度奨学金の試験を受験して、合格したので退職して行くことにしたところです。

もし、1年の間に制度ができていれば休職して留学に行ったと思います。

もちろん、制度を作ってほしいと人事課に執拗にお願いすることはできたと思いますが、そういった組織にある種の迷惑をかけることは、なかなかしにくかったというのが私の当時の考えだったかと思います。

こういったエピソードというのは、退職者は少なからず抱えているもので、そういった人たちの声を反映する場というのは大切なのではないでしょうか。

退職者が人事課職員をやったらどうなるか

そこで密かに面白いなと思っているのが、退職経験者が人事課職員をやることです。

先にも述べたとおり、退職経験者は同じように退職した人たちとのネットワークを持っています。

そのため、いろいろな退職理由を知っています。

それを防ぐための方法というのも思いつきやすいはずです。

そして、おそらくポジティブに退職をした職員というのは、積極的で優秀な人が多いので、スピード感を持って動いてくれるのではないでしょうか。

リスクとしては、スピード感がありすぎたり、ポジティブすぎて組織に馴染めないといったことがあるかもしれませんが、そういう点では、数年働いて係長ぐらいになっている退職経験者の方が良いのかもしれません。

これまで副市長や広報担当者の民間からの採用ということで公募をすることはよくありました。

しかし、公務員経験者を公募するということはなかったのではないでしょうか。

さらに、人事課での公募採用というものもレアなはずです。

日本初の取り組みになることは間違いなしなので、ぜひ首長のみなさんご検討を(笑

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