米中貿易摩擦を過去の日米関係から考える

1 米中関係は日米関係と同じ道を歩んでいる

中国が経験している問題のほとんどは、日本がかつて経験したことだとご存じでしょうか。

経済の著しい成長、それに伴う環境汚染の社会問題化。教育への意識の高まりと激しい受験戦争。

これらはかつて日本が経験したことであり、今、中国が経験していることです。

日本は現在少子高齢化による問題が深刻化していますが、今後は中国も高齢化が進展し、介護等の問題が発生するということは確定した未来と言えます。

最近問題となっている米中貿易摩擦についても同様です。

日本も1960年代以降、日米貿易摩擦ということが言われました。

しかし、今はそのようなことが言われなくなっています。それはなぜでしょうか。

理由は、アメリカにとって、日本が争うべき相手ではなくなったからだと思います。

その根拠として、一つはバブルが崩壊して以降、日本の経済は30年近く停滞していて、GDPではアメリカと大きく差がついていること。

もう一つは、中国が日本のGDPの3倍まで経済を拡大し、世界のNO2の経済大国という地位を確立したことが挙げられます。

米中貿易摩擦を解決するにはどうしたら良いのでしょうか。

日本が経験してきた道を見れば、その解決先は容易に想像がつきます。

それは、中国が経済成長を止めるか、中国以上に経済力のある国が出現するかです。

しかし、本当にそれで良いのでしょうか。

日本のバブル経済の崩壊やその後の経済的な低迷は、世界経済にも少なからぬの影響を及ぼしたはずです。

そういった点では、当時よりもさらにグローバル化が進み、世界の人口の約4分の1を抱える中国の経済が長期的に停滞をすることは、世界にとって大きなマイナスになるはずです。

おそらくこのことはアメリカも意識をしていて、中国の経済全体を停滞させることを恐れて、ファーウェイという中国を代表する一企業を非難する形をとっているのだと思います。

2 大切なのは国家としての魅力

再び日米貿易摩擦の時代に話を戻します。

日本がバブル崩壊後、30年近くにわたり経済成長が停滞しているのはなぜでしょうか。

その理由の一つは人口の停滞です。

生産年齢人口が増える人口ボーナスは2005年に終了し、2016年から人口減少が始まりました。

一方、アメリカは人口が増え続けています。

人は魅力的な国で暮らしたいと考えます。

今のアメリカがあるのは、アメリカに魅力があり、優秀な人材が集まり、絶えずイノベーションが起こってきたことが大きく寄与しているのではないでしょうか。

私は日本のかつての経済成長は、日本人の働きによるところが大きかったと考えています。

経済が拡大し、魅力的な国になったにも関わらず、外国人の受け入れには消極的で、新たな人の流入を促せなかったことから、人口増加は止まり、経済成長も止まったのではないでしょうか。

一方アメリカは、アメリカンドリームという言葉に代表されるように、誰もがアメリカで一旗揚げられる環境を整え、結果として魅力的な国として人を引き付けています。

今の中国は、かつての日本と同様に、中国人の力で世界第2の経済大国にまで成長してきたのではないでしょうか。

中国は日本の11倍以上の人口を抱えるため、この状態でもまだまだ成長は続くかもしれません。

しかし、日本と同じような轍を踏んでもらいたくはないという思いもあります。

中国は56の民族からなる国です。

このことは中国の特徴で、維持していくべきことだと思います。

ただ、アメリカは自国をいくつの民族からなる国と言っているかということも意識しておく必要はあります。

もちろん、このことだけが原因ではないと思いますが、日本は単一民族国家というものを意識し、移民の受け入れに消極的だった結果、今に至っています。

外から見て魅力的だと思われるような国づくりをすることはもちろん、外からの流入を歓迎できる環境を意識しておくことも重要なのではないでしょうか。

中国では包容性という標語をいたるところで見かけますが、それにあらわされるような社会の寛容性が重要だと思います。

3 米中貿易摩擦は国家の魅力をPRする絶好の機会

現在の米中貿易摩擦はアメリカという1つの国家が海外の1企業を非難しているように見えます。

このことは、企業がアメリカに進出することに対して、このようなリスクがあると認識する場となったのではないかと思います。

もちろん、中国企業だからこのような事態に陥っていると考える企業も多いと思います。

しかし、自分たちも同じような立場になるかもしれないと思った企業もあるはずです。

米中貿易摩擦は政治的な要因も含むため、解決までの道筋は非常に複雑になっています。

また、解決手段を誤ると、その国家のイメージを大きく損ね、魅力的な国家という目指すべき道からは外れてしまうリスクも抱えています。

中国には徳という言葉があるように、君子に人は集まるものです。

米中貿易摩擦は全世界が注目しており、この宣伝効果は絶大だと思います。

中国には国家としての君子を目指した振る舞いをしてもらいたいところです。