毎年中国留学から帰国した人たちの話を聞いています。
みなさん、基本的には勉学に取り組むために中国に行っているため、中国語が話せるようになった、専門の勉強をすることができたという成果について語られます。
それに加えて、言葉が通じないところで生活する、もしくは他の頼る人がいない中で生活する、さらには考え方が異なる人たちの中で生活するという点で、大きな刺激を受け、学びを持って帰るという人が少なくないようです。
留学をした人たちに、一番印象に残っていることは何かという問いをしてみてください。
おそらく、勉強面というよりは、生活面での衝撃的なエピソードが語られると思います。
これは、留学前に予測していたことと異なる結果があったから特に語られるわけで、語学にしろ、学問にしろ、ある程度ここまでは成果が出るだろうという予測があり、だいたいその中に収まっているからあえて語られないということなのだと思います。
一方で、留学に際して生活面でここを得ようとか、ここを学ぼうと考えていく人は少なく、予想に反していろいろな経験をしたので印象に残るということなのだと思います。
特に聞かれるのは、小さなことを気にしなくなった。たくましくなったという点です。
中国では接客にしろ、人との対応にしろ、日本よりも気を使わない部分が多いです。
その点で、最初は相手側の対応に戸惑いつつも、そのうち慣れて、今まで小さいことを気にしすぎていたと感じるようになるようです。
たくましくなったという点については、誰も頼れる人がいない中で生活するという環境というのはあると思うのですが、多様な人がいて、日本よりもさまざまなリスクが高い中で生活することによる危機対応能力が養われたというところがあるのだと思います。
これは中国に限らずどこの国でもそうかもしれません。
ただ、日本国内での中国のイメージを考えると、欧米で1年を暮らしてきたことと、中国で1年過ごしたこととでは、たくましさの評価が違うような気がします。
そういった点で、中国生活ができた人というのは評価されるのかもしれません。