これまでの行政と市民の関係を見てみると、変化が起きているのは確かです。
高度経済成長期までのいわゆるお上と言われる絶対的な権力とそれに従うという立場。
この頃は経済が右肩上がり、国民の生活も向上しているという実感があったため、行政に対しては文句のあまりなかった時期。
次に60年代からバブルまでの公害に対する対処を求める市民とそれへの対応という関係。
その後、バブル崩壊から90年代における行政不信の関係。
2000年代における協働、市民参画という関係。
今はその流れの中で、官民連携、パートナーシップの中でのまちづくりという状態になっていると思います。
しかし、市民も行政も意識としてはまだまだ昭和の時代から脱していないというのが現状ではないでしょうか。
市民としては税金を払っているのだから、行政は自分たちの要求を受け入れて当たり前という要求型の人が多く、行政としては市民は自分勝手な要望ばかりで公の立場が理解されないという人が多いのではないかと思います。
もちろん、行政というのは、そのような市民の要望を反映して運営を行っていくところなので、当たり前といえば当たり前ですね。
要望がない人、行政への理解のある人というのはわざわざ関わらないわけです。
ただ、行政と市民の関係の変遷から考えてみると、この状況が継続している背景の一つは、行政に関わる人は60歳以上が多いということが関わっているのではないかと思えなくもないのではないかなとも思えます。
行政の委員会やイベントに出ようという人は退職をしてから地域を見つめなおして関わってみようという人が多いです。
そのため、行政職員が対応するのもその世代なんですね。
そして、その世代はどちらかというと要求型の時代を生きてきた方々で、行政に対してはチェックをするのが市民の役割、正しいことを求めるのが役割と考えている人が多いと思います。
決してそれが悪いというわけではなく、そのような役割もとても大切です。
しかし、そのような人と接することが多いため、市民とはこういう人だという認識が前に来てしまい、市民とともに何かをするのは大変というイメージになってしまうのだと思います。
なかなか難しいかもしれませんが、無作為抽出などで他の世代の人と接してみるとそうではない人も多いということに気づけるので、そのような機会を通すと変化が出てくると思います。
もちろん、市民といっても様々な人がいるので、すべてがこうだと考えるのも良くないですが、固定観念はなくしていけると良いなと思います。
これは市民から見た行政についても同じですね。