ワイルド・スワンという本を読みました。
清末の時代から毛沢東死去までの時代の変遷を女性3代の人生について描いた本です。
国共内戦から共産党政権確立、大躍進、文化大革命という歴史の授業で学んだことのある内容について深く知ることができます。
私自身言葉では聞いていても、どういうものかしっかりと理解していなかったので、とても良い学びになりました。
共産党員として活動した両親は、共産党幹部になりますが、幹部になったからこそ文化大革命で批判の対象となります。
筆者の父親は縁故による優遇をしてはこれまでの中国と同じになってしまうという思いから、肉親に対しても非常に厳格にしていたことが、とても印象的でした。
国民党との内戦の時は農地解放、略奪を行わないといった農民の支持を得られる行動を行います。
その後、共産党国家が誕生すると、農産物の生産拡大で豊かな生活を実現します。
一方で、この時、国民党及びそれに関連した人たちは非難の対象となります。
共産党員として活躍していた筆者の母も国民党の人とつながりがあったことから調査対象となっており、勝った後にも人員整理が行われたようです。
そこから大躍進ということで、農業生産よりも鉄鋼製造に力を入れるなどの取り組みで飢饉が発生し、毛沢東の影が薄まります。
そこからの経済立て直しがうまくいくと、それに貢献した幹部が毛沢東の地位を脅かすということを防ぐために、学生という紅衛兵を使って体制転覆を行います。
この時、共産党の幹部が批判対象になるんですね。
暴力も含めた批判の様子の描写には驚きます。
日本も戦前はそうだったのかもしれません。
都市の人が農民とともに生活を行う下放についても触れられていますが、これはそれまで権力を持つ側だった紅衛兵を抑えるための政策と考えられます。
結局権力を持つ側になった人は、少しするとやられる側になるという立場になっています。
文化大革命が終わったら共産党の幹部が再び権力を取り戻すだろうということは市民の多くが感じていたことのようで、権力の変遷に対する敏感さというのはすごいなと思いました。