大手企業にとって、地方進出は厳しいものです。
その理由は、大きくは2つです。
一つは、経済の規模が小さいので、初期投資を行っても、その後の発展性に乏しいこと。
もう一つは、それまで対象としていたターゲットとなる所得層が確保しにくいことです。
1点目についてですが、ビジネスは何事も初期投資が必要です。
その初期投資に対して、それ以上の額のリターンを得るのがビジネスなわけですが、初期投資に対して、その後のリターンというのはできるだけ大きい方が良いと考えるのは当然だと思います。
リターンの考え方としては、最初の1回目の投資でどれだけ回収できるかということが1つ。
そして、もう1つが、初期投資である程度回収した後に、追加投資を行ってどれだけ伸びるかという点もあります。
大企業になればなるほど2点目を重視するので、市場規模がある程度ないと追加投資をしてもリターンが見込めない、追加投資をする意味がないような場所では投資に対して躊躇するということになります。
たとえば、人口3000人のまちで、100万円を投資して、1000人の人に1万円で購入してもらって、1000万円得られたとします。
では、同じ商品を200万円投資して、2000人の人が買ってくれるかというと、そうとは限らないわけです。
もし、人口が多ければ、その余地は多いかもしれませんが、少ないと広報をしても分散してしまいますし、効果は見込みにくいんですね。
都市の所得と地方の所得
地方では生活費が安いです。
それが移住の魅力になっていたりするわけですが、一方で収入も少ないという傾向にあります。
そうなると、同じ金額のサービスでも都心の人に比べて、地方の人は割高に感じてしまうわけで、購入できる層というのが都市部よりも少なくなりがちです。
そうなると、地方向けのサービスを新たに開発する必要が出たり、都市部と同じ所得層の人たちを狙ったターゲッティングをすることになるわけですが、それもまた、対象が少ないため非効率なんですね。
利益を上げるには、顧客が集中している地域に資源を投入するのが効率的なわけで、そういった点ではインターネットは全世界の顧客にアクセスができるので場所を選ばないビジネスだと言えます。
一方で、場所を選ぶビジネスは人がいる地域でないと成り立ちにくく、そのため大企業は進出しにくいということなのだと思います。
大企業は資本力が大きく、安心ではありますが、そういった点で既存のビジネスにとらわれざるをえなくなるため、地方では難しいです。