生涯活躍のまちは、元気なシニアの移住ということで、50代~60代を想定していると考えています。
しかし、現状の高齢者向け住宅ではそれにマッチした住宅が提供できないというのが私の分析です。(高齢者向け住宅を希望する移住者の年代は70代となる理由)
しかし、自治体としては住所地特例の関係上、有料老人ホームに該当する高齢者向け住宅を整備したいという思いがあります。
このミスマッチを解消するにはどうしたら良いか。
それには、高齢者向け住宅で提供するサービス内容を工夫するしかありません。
一つは、本来サービス付き高齢者向け住宅が最低限提供すべき生活相談と安否確認のみという最低限のサービスのみとして、サービス料を極力下げること。
これは残念なことに、都道府県が独自基準を設けているところがあり、緊急通報を入れなくてはいけないなど、実際はプラスアルファのサービスを付加するように求められてしまうことがあるため、実施できない地域も多いです。
もう一つは、サービスをシニアの移住希望者のニーズに合ったものにするということです。
従来型のサービス付き高齢者向け住宅では、介護等体が不自由になった際のサービス提供が中心でした。
アクティブシニアにとってはそのようなサービス不要です。
むしろ、気にしているのは、地域コミュニティになじめるかということ、また仕事や趣味など地域で充実した生活を送ることができるかという点です。
そこで、それらを解消するためのサービスを提供するというのはマッチしていることだと思います。
ただ、この点については、1年~2年経てば不要になるサービスだと思います。
そう考えると1~2年後にはそこで暮らす意味がなくなるわけです。
そこで考えているのが、シニアのお試しの入り口としてのサービス付き高齢者向け住宅という位置づけです。
住んだことのない地域で家を探すのも、地域になじむのもかなりのハードルです。
そこで、まずはスタッフがいて、支えてもらえるサービス付き高齢者向け住宅に入居し、そこで暮らしながら佐久市で住み続けられるかを判断してもらう。
並行してずっと暮らし続けたいと思える家を探し、仕事や趣味などの活動の場にも慣れてもらう。
自分のタイミングで大丈夫だと思ったら、見つけた家に再度転居し、そちらで暮らすという方法です。
このような形だと、終の棲家としての扱いではなくなるように感じますが、必ずしも他の家を探す必要もなく、そこにずっと住み続けたいということであればもちろん大丈夫です。
ネックとなるのは元気なうちに払うサービス費で、その金額が負担できるかというのも一つのポイントになるのではないかと思います。
生涯活躍のまちは比較的金銭的に余裕のあるアクティブシニアの奪い合いという事業だと思っていますが、実はその層の競合は海外への移住だったりもして、金銭的な部分というのはシビアなところです。