先日、浙江省杭州市にある浙江大学を訪問した際に、千年の思いという書籍を寄贈いただきました。
阿倍仲麻呂や鑑真、空海といった1000年以上前の人たちから、孫文、宮崎滔天、周恩来、廖承志といった比較的最近の人たちの中国と日本に関する話が書かれおり、非常に勉強になりました。
これを読むと、日本は近代においては中国に影響を与えているものの、それ以前は中国からの影響というものが大きいということを感じることになると思います。
中国では水を飲むとき井戸を掘った人の事を忘れてはならないというようなことが言われます。
この本の中には、お茶は中国から岡山県出身の栄西という僧がその製法などを日本に伝えたと書かれています。
同じ章には喫茶するに源を思うということで、お茶を飲むときはこの栄西のことを日本人はいのぶだろうということが書かれています。
おそらく日本人で栄西のことを知っている人は皆無で、お茶を飲むときにそのような思いをはせている人は極めてまれだと思うのですが、ここに中国とそのほかの国での違いを見たところです。
というのも、中国の最初の人を尊ぶという考え方は、いろいろな事柄において、中国というのは発祥の地であるため、中国人に至ります。
一方で、多くの国ではさまざまなものが輸入されて自国の文化として根づいているため、起源を辿ると外国にあったという形になります。
ということは、中国と同じように起源を尊重するという思想をとってしまうと、外国を尊敬することになってしまい、その国のアイデンティティを保つのが難しくなってしまうわけです。
書籍として語ることは全く問題ないですが、交流だったり、お互いに接するという場においては、そのあたりの機微というのを相互に理解しておくことが必要ではないかと思いました。
そういった点で、いろいろな国に行ってみる、いろいろな国の人と話をしてみるというのは大切なのだと思います。