行政は税金を使って事業をします。
税金は納税が義務であることからわかる通り、必ず入ってくるお金です。
物を買うのとは異なり、消費者が支払いたいと思って払っているわけでは必ずしもありません。
そのため、国民が納得のいく使い方をしなくてはいけないというのがすべての行政職員が持っている意識だと思います。
よく国民が納得するためにということで、公平性を担保したり、説明責任をしっかり果たしたりということが言われていて、このことからできない使い方というものも出てきます。
制度的な部分でいうと、議会を通さなくてはいけないという点です。
予算は議会が決めるので、議会の了承のないお金は使うことができません。
議会を通す際には、随意契約という特定の業者を任意に選べるような公平性に欠けるお金の使い方はしにくかったり、地元の事業者を優先的に指名できるようにしたりということも含まれます。
金額が小さいものは細かくチェックされませんが、大きいものはチェックが厳しくなります。
基本的に今あるお金は今使うということになっているのも特徴です。
予算というのは必要なお金を最低限で出しているので、逆に残るということもありえないという考えもまだまだ行政には残っています。
今あるお金は今使うという点については、国民の納得を得るという点では必要なのかもしれませんが、今ないお金を将来の人たちに負担をしてもらって今使うというのはできるんですね。
これは借金です。
建物を建てるなど将来にもわたってメリットが享受できるものについては起債をして将来世代にも負担をしてもらうということが理屈です。
ただ、その逆はできないというか、やっているところはほとんどありません。
それは、貯金をするということです。
正確には基金という形で貯金している自治体は多いのですが、基金というのは今は利息も低く、ただお金を保管しているだけという状態です。
考え方としては、将来何かあった時のために備えるという保険の意味を持ちます。
私は、それよりもさらに考え方を進めて、将来世代の負担を減らすために今お金を使うということができないかと考えています。
たとえば、ふるさと納税は毎年どの程度の収入が入るのかがわからない事業です。
ある年にメディアで取り上げられて、いつもの10倍の収入になるということもあると思います。
行政としてはその年の収入はその年に使うのが前提なので、行政職員としては予想していなかったたくさんのお金をどう消費しようか頭を悩ませるわけですね。
そもそも使う予定のなかったお金を使えと言われるわけです。
みなさんも、いきなり1億円万円渡されて、今年のうちに使いきれと言われたらどうしますか?
もともと予定していなかったものを買うということになるのではないでしょうか。
もともとほしかったものが買えて良かったという人もいるかもしれませんが、1億円のものを普段からほしがっている人はなかなかいないはずで、せっかくだからベンツを買ってみようとか、宝くじでさらに増やしてみようとか予定のない消費を考える人が多いと思います。
これは行政でも同じで、もちろん国民の目があるので、国民が納得のいく形での使用をすることにはなりますが、本当に今、それをしなくてはいけないのかという事業も出てくるのではないかと思うところです。
そこで、私が思うのが、未来の負担を減らすための投資です。
たとえば、1億円入ってきた場合、これを上場企業の株式に替えると4%程度の配当が入ります。
年間400万円収入が入ってくることになるわけで、1億円は使わずに将来的に400万円を使っていくという考え方です。
そうすると、1億円の価値は残りますし、25年間その株式が有効であれば、1億円の元をとれたことにもなります。
株式にするというのは一つのアイデアですが、同じような投資の手段はほかにもあるわけで、この金額が増えれば、それだけ税金に頼らない経営ができていくことになります。
税金に頼らずに経営ができていけるようになると、減税ができるかもしれません。
減税ができれば海外のタックスヘイブンのような形で企業の誘致も可能になり、成長力がさらに伸びていくことになります。
ふるさと納税は寄付で、お金の使途も指定されたりもしますが、その使途の中に投資という項目が入ってくると面白いなと思っているところです。
投資にはリスクがつきもので、株であれば株価が下がればその額面価格は下がります。
その下がった価格の分を消費したと思って、自分の自治体に投資をしてもらって将来世代の負担が減るようにという考え方をするのも、美しいのではないでしょうか。