まちづくり

地方の行事で集合時間に集まったらその時間に終わった話

地方に住んでいると、必ずあるのが、地域清掃やお祭りといった地域の行事です。

中でも、地域の清掃というのはかなりの伝統行事で、年間2回程度だとは思いますが、早朝から行われることが多いです。

もともとその地域に住んでいる人たちにとっては毎年の恒例行事になるのだと思いますが、移住をしてきた人にとっては普段顔をあわせない地域の人たちと会う貴重な機会です。

貴重な機会であると同時に、緊張をする時間でもあり、もし遅れたら地域になじめないのではないかと思う人もいるようです。

そして、そのような清掃というのはなぜか早朝に実施されることが多く、6時集合などと言われたりします。

そして、寝坊しないように注意して時間通りに行ってみると、すでにみんな掃除を終えていて、時間になったら解散ということがあります。

これは、結構いろいろな地域で同じような話を聞いていて、6時集合で行ったらその時に集まっているかどうかの確認をしただけで、清掃活動自体はもっと前から行っていてすぐに解散になった。

3分ぐらい遅れていったらすでに解散しはじめていたという話も聞きます。

これが地域にどういう効果をもたらすのかというと、伝統を守れという無言のプレッシャーになって新参者を襲います。

集合時間通りに来たのに、なぜか時間を守れなかったような罪悪感のようなものを感じることもあります。

おそらく、そうなることで、地域からはみ出ることは良くないこと、地域で情報を仕入れて、地域になじめるようにするようにという無言の教訓を与える効果があるのだと思いますが、個々人に聞いてみると、変な習慣だよねと感じている人がほとんどです。

私も改めてその狙いについて考えてみましたが、多くの人は狙いがあるとは思わず、なんとなく今までそうやってきたからという理由で回りに合わせているという人がほとんどではないでしょうか。

しかし、この無言のプレッシャーによって空気を読ませ、地域になじませるというのは直接物を言えないシャイな人たちにとってはやりやすいやり方で、日本人っぽい手法と言えるのではないでしょうか。

地域によってはその習慣が変わるところも出てきていますし、それぞれの地域の独自性ということで今後も残る地域はあるでしょう。

多くの場合このような年数回の行事の情報というのは、移住前には入手できないもので、移住後にはじめて知ります。

そして、洗礼を受けることになるわけですが、この1回をどう受け止めるかがその後その地域で過ごし続けられるかにも大きく影響してくるような気がします。

都心の良いところは、寛容性があり、どのような人でも受け入れられることです。

実際は受け入れられるというよりは、存在を許すというようなレベルで、隣にいても自身とは関係ないから許容しているという形ではありますが、地方だとそうはいきません。

顔をあわせれば挨拶をし、話をし、一緒に活動をすることもあるメンバーとなるのが地方です。

コミュニティの在り方として、関心のあるテーマごとに集まるテーマ型コミュニティと住んでいる地域ごとに分かれる地縁型のコミュニティという言い方がありますが、都心ではテーマ型、地方では地縁型の色が濃いと言えると思います。

これをさらに進めてみると、テーマ型のコミュニティを地方で作れるとそれが最も良いのではという考えに至ると思いますが、移住者が増えている地域というのは移住者が移住者を呼ぶ流れになっていて、これは核となる移住者のテーマ型コミュニティが成立していると言えるのだと思います。

移住者の募集もターゲットを絞っての募集が増えてきましたが、これも一定の場所の地縁型コミュニティになじむ人をテーマで集めようとしている試みだと位置付けることができると思っておりまして、今後は意識されるかどうかは別として、この流れがさらに加速すると考えています。

どの地域にどういう人たちが住んでいるのか。

かつては城下町ということで、商人が住む地域、武士が住む地域が分かれていました。

今も家賃の高低によって、所得によって住む地域が分かれています。

所得が似ていれば考え方、環境が似ているので、同じような人が集まっているとも言えます。

今後も所得による地域差というのは残存することになると思いますが、この場所にはこのような人に住んでもらいたいというテーマ型の居住設定を意識していくことが、住民にとって心地良い環境になっていくと考えています。

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