予算がないというのはどの時代の行政にも共通の課題です。
しかし、予算規模が縮小していくというのは今の時代特有の問題だと思います。
そして、それに対する行政がやった対応が、市民協働と官民連携です。
行政と市民が対等の立場でまちの運営を担うというのが基本的なところだと思いますが、市民のボランティア精神に頼るところが多いというのが現状です。
そのため、行政の下請けという批判があります。
官民連携についても、民間企業と行政が対等の立場で行うというのが基本だと思いますが、多くの場合が行政側がお金を出しているので、委託者と受託者という立場上、行政のほうが強い立場になっています。
結果として、行政は費用負担を軽くしてサービスを提供できているといえるのだと思いますが、その費用分市民や民間が努力をしているというのは確かだと思います。
ただ、ここで違うのが、市民の場合は収益を追求しないので、財政的にぎりぎりでも実施しますが、民間企業の場合は収益が上がらないと実施しないという点です。
市民と民間企業との違いは、専門性を持っているかどうかという違いになると思いますが、市民団体でも数年継続していくとそれなりのノウハウが蓄積されて、専門性を持つという状態にもなると思います。
しかし、入り口部分で市民と民間企業と分かれてしまっているので、それを後から変更することは難しく、結局市民団体は思いを持った人がいなくなると継続しないということが起きるのだと思います。
行政はこの入り口部分での入り方がその後も長く尾を引くという習性をもっているのが特徴です。
たとえば、最近各地で採用されている地域おこし協力隊もそうです。
地域おこし協力隊は行政職員の一員という認識で、さらにいうと正規職員ではありません。
そのため、正規職員からすると、嘱託職員のようなイメージで、民間事業者のように扱われることはまずないと思います。
任期が終了した後もそのような認識は変わらないため、たとえ行政でプロポーザルがあったとしても、なかなか一般の民間企業として評価されることはないのではないでしょうか。
もちろん、もともと地域おこし協力隊として活動していて、その実績が認められて行政から委託を受けるというのはよくあることだと思います。
ただ、それは結局行政の下請けとしての仕事であって、対等な立場でのプロポーザル案件でというのは厳しいでしょう。
民間も同じではありますが、多くの自治体を見てきた中で、正職員が上、パートは下という認識があって、一度そのような立場で組織に入ってしまうと、すぐにはその認識を変えることは難しいのではないか、そしてそのことが人材を殺してしまうこともあるのではないかというのをなんとなく感じています。