自治体職員が担うべき仕事と民間が担うべき仕事は何か

官民連携を進めるために、民間の役割として、自治体に官民連携の成功体験をしてもらうということが求められると考えています。

民間は責任を持って行政の成功体験をつくらなくてはいけない

では、どういう分野で成功体験を提供できると良いのか。

それを考えるにあたっては、自治体職員がやるべき仕事と民間がやるべき仕事を分けて考える必要があるのではないかと思います。

民間が行政の仕事を担う上で頻繁に使われるのは、民間の経営や技術のノウハウを活かすということです。

この点については、事業が継続して行われる収入と支出に関するノウハウというのは納得できます。

ただ、行政も市民へのサービスの向上にすでに10年以上取り組んできていて、ホスピタリティ的な部分は民間とあまり変わらなくなっているのではないかと思います。

また、専門性について、既存の行政が行っている仕事について民営化するのであれば、行政職員が持っていないわけはありません。

そういう点で、技術についてはあまり差はないのではないかと考えています。

あえて言うとすると、民間は他の自治体も含めて複数の地域を見ているので、比較がしやすいということでしょうか。

この点については、他の地域の行政職員との情報交換ができればカバーできるのではないかと考えています。

あとは、従事する人の賃金が公務員よりも低く設定することが可能なので、コストが低くなるということはあるかもしれません。

そんな中、行政の制度的、構造的な部分でどうしようもない部分があります。

それは、

  1. 異動と前例踏襲
  2. 縦割り
  3. 臨機応変な対応

です。

これらを避けるための民間委託という考え方はありかと思います。

異動と前例踏襲

公務員に異動はつきもので、確実に数年後には人が変わります。

そうすると、初期の人の想いが完全には引き継がれず、その後実施されていくことになります。

場合によっては、全くことなる方向になることもあります。

もちろん、それが良い方向に向くこともあるのですが、人の変化によって、質が変化するというのはサービスの受け手としては不安になりますよね。

前例踏襲というのは、批判的に使われることが多いですが、そういう点では前年の質を担保するための仕組みと言え、公務員という性質上当然生み出されることなのではと思っています。

問題なのは、これがニーズに応じた柔軟な対応をしない理由に使われていることで、こういうルールなのでということで変わろうとしない理由になってしまうことだと思います。

その点、民間は柔軟に変えやすいのではないでしょうか。

というのも、利用者の満足度が高くなければ次のプロポーザルでは採用されなくなってしまうので、ニーズに基づいた事業にしようと心がけるからです。

縦割り

縦割りも行政批判としてよく言われることですね。

担当の部署でないので、他のところにご案内しますといった形の対応になることがよくあります。

これは民間が担ってもある程度同じようにはなってしまいます。

若干の違いがあるとすれば、行政の場合は、部署が違うので、担当を紹介しますやそちらへ直接ご連絡くださいで終わるところ、民間は最初に受けた担当者が自ら確認して、回答するといった違いでしょうか。

民間の場合は自分の権限外の仕事だからといって、答えられませんではなく、自らが得た知識で答えるという部分までになってしまうことが多いと思います。

これは、行政の場合は間違ったことを伝えてはいけないというリスク回避の観点からの行動ということと、民間の場合は問い合わせをしてもらった人への誠実な対応といった行動という何を起点に考えたかの違いの表れではないかと思います。

臨機応変な対応

行政は計画、要綱に基づいて事業を行います。

その計画、要綱を策定するのはもちろん行政です。

これは市民への説明責任のためですね。

計画を作った本人がその計画に基づかない取り組みをしているというのは、市民に対して説明がつきません。

そのため、行政が自らサービスを担うと、自分で作った計画を変えにくいという計画策定者のジレンマに陥ります。

計画策定者のジレンマというのは、私の造語かと思って調べてみたら、行政計画のジレンマという言葉で文章を書いている方がいました。

これは行政計画がなぜ具体性を書くのかといった点の説明として使われているので、少し違いますが、行政が抱えるジレンマが説明されています。

話を戻しますが、計画策定者は自ら策定した計画を自ら変更して実行するということはなかなか難しいです。

そこで、民間に委託をして、計画策定をしていない民間の声として届いたものを反映したという形を取ることで、自ら策定した計画を修正していくといったことがやりやすくなります。

この点で、行政が民間を利用する価値というのは大いにあるような気がします。

自治体職員が担うべき仕事と民間が担うべき仕事は何か

民間のサービス範囲はかなり広いので、行政が行っている業務で民間が担えない部分というのは、ほとんどないのではないかと思います。

民間に委託すべきかどうかについては、効率性やコスト、サービスの質の向上といった部分と、公平性、中立性のどちらを取るのかといった観点での比較になるのではないかと考えているところです。

民間は公平性や中立性というのは、あまり重視しないので、単一事業内でも選択と集中が行われます。

たとえば、税金の徴収の業務を民間が担うとすると、徴税できる金額が大きい人からとか、徴収しやすい人から徴収するといった選択がされると思います。

一方、1万円でも100万円でも滞納は滞納なので、同じように扱うというのが行政ではないかと思います。

税金関連や選挙については、特に公平性、中立性は重視されるのではないでしょうか。

この公平性、中立性をどこまで担保するのかという設定が行政側の腕の見せ所で、縛りすぎると自由度がなくなってというところになるのでしょうね。