公務員の新入職員に大変なところは、
- 自分で配属先が決められないこと
- 年功序列なこと
の2点だと思っています。
こういうことをやりたいという想いを持って入っても、配属先が自分の希望ではなかったというのはよくあることです。
私自身もそうでした。
その後はきれいに2パターンで、1つは部署に関係なく、仕事をしっかりとして、最終的に自分のやりたいことを実現していく人。
もう1つは自分のやりたいことではないということでやる気をなくし、結局希望部署には配属されない、もしくは配属されても腐ってしまっていて使えないという状態になっているパターンです。
公務員という特性上ここは避けては通れないのかもしれませんが、こちらの本に出会い、そうでもないのかなと思いました。
マーケティング力ということで書いてありますが、内容はどうしたら自身の政策立案を通すことができるか、それをデータをもとに作ってみようというものになります。
公務員時代の意思決定
振り返って考えてみると、自身のやりたいことをどう通すかというのは、公務員の世界独特のものがありました。
というのも、データよりもその人を重視する点があることです。
もちろん、役職もそうですが、担当レベルでも誰が発言したかによって、組織としての尊重され具合が異なります。
その理由は、もちろんその人の発言内容が正しいかどうかというのも関係するとは思いますが、その人のその場以前の普段の行いや考え方が組織の人にどれだけ理解されているかというのが大きかったのではないかと思います。
つまり、日常業務で築いている信頼感が大切だったということですね。
ここがおそらく公務員の大変なところで、仕事内容が多岐にわたるためオールマイティになんでもできる人は穴が少なく、信頼を勝ち取りやすいです。
たとえば、窓口業務で市民と接することから、経理処理的なお金の管理、イベント実施など、どれも不得意とせずできることが重要になるわけですね。
これは逆に考えると、イベント実施をしたらピカ一だけど、お金の管理は苦手といったような人はなかなか評価されにくくなります。
もちろん、私はお金の管理が苦手ですと公表して、周囲にも認知してもらえればそういった部分は回避できますが、管理職への道は厳しくなると思います。
そんなオールマイティさを示すまでには時間がかかるのと、政策立案というのは、その後にできるようになる位置づけなので、時間がかかるため、入庁したばかりの立場としてはかなり厳しくなります。
入庁直後の政策立案の可能性を高めるために
やりたいことができる部署に配属されたけど、自分の提案が通らない。
そんな人も多数見てきました。
その原因は、上述の信頼が築けていないというのが一つあると思います。
ただ、それを回避する方法が前述した書籍です。
これは、政策を内部で通すためのノウハウが入っています。
特にデータをいかに使うかということが書かれているため、信頼や関係性が構築できていない中でも数字によって客観的に示すことができます。
やりたいことが上司に認められない。
そんな環境にいる人は、おそらくデータで示せていないからで、ここができればどんな状況にあっても、自分のやりたいことを実現できるのではないかと思います。
職場でできない場合は
そうはいっても、配属先が希望通りでない場合は、やる気が起きないという方もいるかと思います。
そういう場合は、筆者がエントリーした内閣府の政策アイデアコンテストのようなものに出してみるのが良いのではないでしょうか。
役所の場合は、外部での評価が先で、内部での評価は後ということも往々にしてあるのでまずは外部で認められて、このような能力があるというのを示すことで、内部での役割が変わってくることもあると思います。
今回紹介した書籍ですが、タイトルが「公務員のマーケティング力」です。
マーケティングを教えている本でこのタイトルというのは残念でした。
残念な点は大きく2点ですね。
1つは、特産品の売り上げを1年半で6倍にしたということをうたい文句にしているにもかかわらず、特産品売り上げの事例紹介がゼロで、述べている手法を具体的にどう活用したかが書かれていないこと。
タイトルから考えられるターゲットは売り上げ増に困っている行政職員向けというものになるのですが、その期待に応えられていません。
読んだ側はこんな概論ではなく、具体的な話を聞きたいとなったでしょう。
もう1つは、公務員でマーケティングという言葉が縁遠すぎて学びたいという人が皆無だと思うからです。
公務員からすると、マーケティングという言葉は全くなじみがありません。
また、必要なのかどうかもわかりません。
その段階の人たちが多い中で、マーケティングを学びたい人といううたい文句で本を売るのは微妙なところです。
読んでもらうのはとんがった人たちだけで良いのだと開き直ることもできるかもしれませんが、本を書くという労力に対して、手に取られる人の数が減ってしまうのはどうかなという感じです。
冒頭にも述べた通り、本書は、どんな人でも上司を納得させ、自身の政策立案を通すための手法が記載されています。
そのため、タイトルとしては「悩める公務員のみなさま こうすれば自分の意見が通る。スーパー公務員直伝政策立案術」といった感じかなと思います。