公民連携ということが言われる中で、まだまだ行政の中には民間を信じきれないという人が多いと思います。
20年も30年も働く中で、一度も民間と付き合ったことがない。
付き合ったとしても物品の調達程度のもので、同じ立場で取り組みをしたことがないという人がほとんどなので、当然かなと思います。
特に私もそうでしたが、公務員になる人は利益を追求したくない、お金を稼ぎたくない、という人が多く、利益を追求する人に対して、否定的に見がちです。
何かの提案はお金を稼ぐための提案であって、その提案が良いものであるはずがないといった感じがあります。
もちろん、民間企業は利益を追求するために働いています。
ただ、その利益の使い道というのは、企業によって違うと思います。
ある企業は経営者が私服を肥やすために使っているかもしれません。
ある企業は自身のブランドイメージを高めるために広告に使っているかもしれません。
ある企業は自社製品の新規開発に使っているかもしれません。
同じ利益でもその用途はまちまちです。
利益をどう使えとまでは指定できないと思いますが、しっかりした成果を出し、さらに利益を社会のために還元しているような企業であれば最高ですね。
CSRやCSVという言葉が良く聞かれますが、これは社会に還元するための活動の一部だと思います。
しかし、このような事業は本来業務ではないので、利益度外視の取り組みになっていることが多いです。
そうは言っても、民間だからどこかで利益になることを狙っているのだろうと疑うのが公務員です(笑
私もそうでした。
民間不信というのでしょうか。
特に根拠があるわけではないのですが、うまい話しには何か裏があるだろうと思ってしまうんですね。
実際に、話を聞いてみると、あ、やっぱりなということが多いので、なかなかその感覚も取ることができません。
しかし、それではいつまで経っても公民連携は進みません。
ここに、民間側の責任があるのではないでしょうか。
つまり、民間不信を解消して、行政の信頼を得るということですね。
民間不信の根本はその人に責任があるわけではないのですが、誰かが解消しないとその先には進みません。
これにはある程度の時間とコストがかかると思います。
そして、それだけのものをかけたからといって必ずしも成果が出るとは限りません。
それでも誰かがやらないと進まない。
一方、それで先に進めることができれば大きな一歩になります。
民間不信を解消できるのは民間だけです。
そのために、民間としては時間とコストをかけて取り組んでいく必要があると思いますし、取り組む事業には失敗は許されません。
せっかく高い壁を越えて公民連携を行っても失敗したら逆効果になってしまいます。
最後に民間の立場から1点。
信じられる民間の見分け方として、1つこんなのはどうかなと思います。
それは、金額についての根拠を明示させるということです。
成果物に対して、この程度といった金額を概算で提示してくるだけでなく、その根拠をしっかり把握する必要があると思います。
このシステムを使うには研究開発コストがかかっていましてとかいう理由をいうところもあると思いますが、そういうものも何年間、何人を使って開発したのかということを担当者が答えられないようでなければ説得力はありません。
AIなどの最先端技術については特にそうで、それがどれだけ高度な技術かといったものは検証がしにくいこともあるのでしょうが、全く未知の技術であればまだしも、これだけ人口に膾炙した技術であれば、ある程度普遍化されたものになっています。
一方で、費用弁償的なボランティアベースの事業委託が未だ存在するのも困ってしまいますので、双方が適度に歩み寄ることが必要ではあるのかなと思います。
行政経験がない民間事業者からすると、行政独特のルールや仕事の進め方があるので、そういうコストを考えると見合わないという部分も出てくると思います。
私は行政経験があるからか、その部分は全くといって良いほど感じないのですが、多くの民間事業者からは、行政との事業はハードルが高いということも聞きます。
行政側としてもルールだから仕方がない部分もあるとは思いますが、取り組むからには行政側も柔軟に対応できる部分は対応していくということが求められるというものも覚悟しないといけないのかもしれません。