行政の補助金を受けると活動が継続しない、うまくいかないというのは最近よく言われることです。
補助金をもらえると補助金をもらうための活動になり、本来の活動の目的から外れるということが言われます。
また、補助金があることが前提となるため、自ら収益をあげることを考えなくなるということもあります。
行政と関わる中で、行政の事業を実施しようという民間企業は多いです。
しかし、民間企業の多くは、行政の予算を使って何かを納品するという単年度の取り組みの提案がほとんどです。
民間感覚ということが良く言われますが、この点では民間は行政の文化にどっぷりつかってしまって何も民間の良さというのを出せていないんですね。
では、民間の良さというのは何か。
それは、投資に対して、それを回収する仕組みを構築し、活動を継続して行えるということです。
補助金で初期投資を軽減して、将来的により高収益を得られるビジネス創出を行うというのが行政と連携することのメリットです。
しかし、行政から受託する民間企業の多くはその視点がありません。
その理由はその方が儲かるからというのが一番だと思いますが、行政側がそのことに気づかず発注しているということもあると思います。
継続した仕組みというのは新たなビジネスの創出なので、大変です。
また、コストもかかります。
そして、成功するとも限りません。
さらに言うと、成果を出しても公平性という観点から受託企業だけが独占して利益を得られるとも限りません。
市民活動をしている市民はほとんどが民間企業経験者のはずですが、市民活動で行政からの補助金となった瞬間にその点を意識しなくなる人がほとんどです。
市民活動がボランティアベースで、投資だとか、回収だとかいう視点の外で実施しているからだと思います。
しかし、ボランティアも社会的に必要性が認められると始めた人の思いだけで実施しているわけにもいかなくなり、後継者を育てたり、事業を拡大したりという必要性が出てきます。
そうなったときにビジネスの視点での実施が求められてくるのですが、そのスイッチの切り替えというのはなかなか難しいんですよね。
民間との協働ということが言われていますが、協働をするときの行政の心構えとしては、企業や市民団体が自立して活動できるようにするための支援という認識を持つことが大切です。
このことは多くの自治体職員が理解していると思いますが、それは具体的にどういうことかというと、計画段階で、初期投資をどのように回収し、収益を上げていくかというスキームをたてておくということです。
投資の回収とか、事業計画という言葉は行政の立場ではほとんど意識しないところですが、これからはこの点を認識することが求められてくると思います。