まちづくり

人口減少時代での地主、大家の役割

貯蓄から投資へということが言われて、不動産投資というものに関心が向いている人も多いのではないかと思います。

東京では地価があがっていて、マンションを買えないといった声も聞くようになっています。

では、それが地方ではどうかというと、必ずしもその波は来ていないというのが実際ではないでしょうか。

東京一極集中と言われるように、東京はまだ人口が増え続けています。

しかし、東京も2025年の今年をピークに人口減少が始まると言われています。(東京都政策企画局:2060 年までの東京の⼈⼝推計

そんな人口減少の先を行っているのが地方ですが、そこでは不動産の所有者である、地主、大家の役割が変わることを求められていると感じています。

それについてご紹介します。

人口増加局面と人口減少局面での地主、大家の役割

人口増加局面の地主の役割というのは、政治家や行政に訴えることでした。

意識としては、今と同じように地域をどう良くしていくかというものを持っていると思うのですが、採る行動が異なります。

国からのお金をどう持ってくるか。

自分たちの立場に有利な規制をいかにつくるか、なくすかといった形での動きですね。

地域をつくるのが、行政であるため、行政を動かすことがメインだったという形です。

大家については、人が増えているので、あまり困ることはなく、持っている家を貸していればうまくいくといった形かと思います。

東京では今も同じような形ではないでしょうか。

もちろん、建物が老朽化してきたらリノベーションをするといったことをする必要がありますが、地域をどうするかは行政にお任せといった形です。

それが、人口減少局面ではどうなるか。

行政ができることが少なくなってくるというのが最も大きなポイントです。

しかし、そのままだと地域が衰退する一方です。

そのため、地主や大家が自ら手を動かして、お金を出して地域を盛り上げていくということが特に求められてきます。

古くからの地主の方々だと、以前から地域のために一肌脱ごうといった想いを持っていて、実行している人も多かったと思いますが、大家業の人々はほとんどそういう行動に移すことはなかったのではないでしょうか。

人口が減少したため、ただ単に家をリノベーションする程度だと、空き家のままになるリスクが高く、再投資に踏み切れないといった人も多くなってきます。

地域全体の魅力を向上させないと厳しいという状況に陥っているわけですね。

これが、おそらくこれからの東京でも同様に出てきます。

すでに東京でも23区ではなく、26市の方では同じような状況に直面している地域もあります。

大家、不動産屋が求められる変化

では、この状況をどう打開するか。

それは、大家が変わるか、不動産屋が変わるかの2つしかないと思います。

大家が変わるというのは、自身の物件だけでなく、地域の魅力が向上するような取り組みを行うこと。

もう1つは、不動産屋が地域の魅力が向上するような取り組みを行うことです。

大家であれば、自ら取り組むだけなので、自分の時間と労力を使えば解決します。

不動産屋の場合は、商売として取り組むため、プラスアルファでのお金がかかってきます。

現状、不動産屋は賃貸管理業ということで、物件の管理で家賃収納や物件の清掃、リフォームなどで対応をしていますが、ここに地域の魅力の向上という取り組みが加わってくるのではないかと思います。

すでに意識の高い不動産屋は、主体的に取り組みを行っているところが多いですが、これは不動産屋が自主的に行っているだけであって、物件所有者に対価は求めていません。

しかも、このような不動産屋は多くなく、地域の魅力向上の取り組みを不動産屋が得意かというと、未経験な人がほとんどではないかと思います。

私としては、大家が変わればと思ってこの文章を書き始めていたのですが、不動産屋が扱う範囲を広げるか、この分野に強い地域活性化の会社が入ってくるかといった形になりそうですね。

これまでは地域活性化関係の会社は行政からの事業を受託していたと思いますが、それができなくなった時、大家、不動産屋はお金を出すのでしょうか。

そこが出てこなければ地域は衰退するしかないですし、出さなくても自ら汗がかければ改善の見込みは出てくると思います。

物件所有者の心構えとして、その地域とともに生きていく意識があればそれほど難しいことではないと思うのですが、投資先として見てしまうと利回りは悪くなりますし、不労所得といったイメージからは外れてくる状況になるのではないかと考えたところです。

決して不動産投資を否定しているわけではなく、こういう志して取り組む人が増えると良いなという想いで書きました。

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