行政の取り組みは、計画づくりをしてから実行します。
計画づくりによって市民の了解を得て、予算がついて、実行という形になるからです。
そして、これまでの行政は計画づくりが大切ということで、計画づくりを外部委託をしてお金をかけて計画書を作っていました。
実行の段階では計画づくりを行った会社は関わらず、自治体が自ら実施したり、他の会社が実施したりという形でした。
これは、コンサルティング業界に前々から起こっている流れですが、計画づくりで言いっぱなしで終わりでその後の実行までをしないというのは無責任ではないかという話がでてきて、コンサルティング会社の中には実行までを行うところが出てきています。
ここでの問題なのは、実行まで民間に委託するとそれだけのコストがかかるということですね。
行政は何事にも予算化が必要なので、計画の段階で実行まで予算をある程度想定した上で取り組むわけですが、実行の段階の予算はあまりかけられない。
かけられても3年など期限が決まっています。
ただ、すべての事業が3年でうまくいくかというと、難しい。
特に行政の行うものは、その領域で実施したことがない、新たな市場開拓です。
新規ビジネスの創出にあたるので、期限が定まっているというのはなかなか厳しいですね。
行政というのは、お金は返さなくても良いけど、必ず3年以内に成果を出してねという一種のベンチャーキャピタルなのかもしれません。
そういう点で、ベンチャーキャピタルも数十件投資をして、そのうちの1つが上場したら元が取れるといった形になるビジネスモデルになっています。
ベンチャーキャピタルとしては、この失敗がたくさんできるというのが大切で、行政としてはその失敗が難しく一投入魂の事業実施になってしまうので、なかなか大変ですね。
そうなると、やはり1つの予算の中でも複数分野を同時に実施する形にしておいて、どれか1つは成功するだろうぐらいの感じでできると良いのかもしれません。
ただ、そうすると、1つの分野にかけられるお金が少なくなってしまうというデメリットもあり、中途半端に終ってしまうこともあり、悩ましいところです。
受託する側としてはその確率を上げますということしか言えないですし、やるからには成功させるつもりでのぞみます。
事業というのはピボットというものがつきもので、ピボットを繰り返せれば必ず最後には成功します。
問題は資金が続くかどうかです。
3年で成果が出なかったときも、撤退せずに、自己負担で成功するまでやり続けますという事業者が出たら最高ですね。
そして、おそらく今後はこういった形が求められてくるのではないかなと思います。
つまり、民間側は利益を出すというよりも、その事業を実現したかどうかで事業の参画を決めるべきという考え方です。
収益というのは、あくまで事業を成立させるためのもので、目指すものは実現したい社会。
どんな社会を実現したいかといった部分での姿勢が求められるかと思います。
とはいっても、3年以内に収益があがって、当初の事業が成立すればそこまでの姿勢は求められなくもないというわけで、その事業のリスクテイクがどの程度かという判断によって採択の判断基準も変わってくるんでしょうね。