まちづくり

まちづくりで新たなビジネスを生み出すための方法

これまでの「まちづくり」では、行政主導の計画づくりが中心でした。

一方で、最近では地域課題の解決や地域活性化を目的としたビジネスが注目されています。

しかし、まちづくりを通じて新たなビジネスを生み出すためには、行政のヒアリングやアンケートとは異なるアプローチが必要です。

行政ヒアリングとビジネスヒアリングの違い

行政の計画づくりでは、住民アンケートやワークショップを通じて「多くの意見を公平に集める」ことが重視されます。

一方で、ビジネスを生み出すヒアリングでは “1人を深く掘り下げる” ことが鍵となります。

ビジネスの世界では「ペルソナ設定」という考え方があり、特定の人物像をもとにニーズを探る手法が一般的です。

まちづくりにおいても、ヒアリング対象者を“ペルソナ”として捉え、その人の生活背景や悩み、行動パターン、価値観を丁寧に掘り下げていくことで、ビジネスのヒントが見えてきます。

行政職員の立場から見ると、「1人の意見」として軽視されがちな声でも、ビジネス視点では大きな可能性を秘めています。

こうした発想の違いを行政側も理解し、柔軟に取り入れることが重要です。

ワークショップと個別ヒアリングの使い分け

計画づくりで行われる定番がワークショップではないでしょうか。

ビジネス創出の場合においても、地域の意見を幅広く集めるためには、ワークショップの実施も有効です。

ただし、ワークショップで出てくる意見は「アイデアの端緒」に過ぎないことも多く、そこから本質的なニーズを掘り下げるためには個別ヒアリングが欠かせません。

公平性の観点から、まずワークショップで多様な声を集め、その後に個別ヒアリングでビジネス化の可能性を探る。

この二段階のプロセスを踏むことで、行政としても納得感を持ちつつ、現実的なビジネス創出につなげることができます。

参加者選定と無作為抽出の工夫

ワークショップの基本として、できるだけ幅広い層からの参加を促すことが意識されるかと思います。

特定の層に偏ると、意見が限定的になり、地域全体の課題感を把握できていないのではないかという疑問が生じるからです。

最近では、無作為抽出による参加者選定の手法も注目されており、コストをかけられる場合は、多様な住民層にアクセスする仕組みをつくることも一つかと思います。

ワークショップからヒアリングへ、そしてビジネス化へ

まちづくりで新たなビジネスを生み出すためには、

従来の行政手法に加えて、ビジネスの視点でのヒアリングと深掘りが欠かせません。

  1. ワークショップで幅広い住民から意見やアイデアを集める
  2. 個別ヒアリングで特定の人に焦点を当て、ニーズを深堀りする
  3. 得られた知見をもとにビジネスアイデアを具体化する

この流れが、行政と民間が協働して地域の新しい価値を生み出す基本プロセスです。

ワークショップで「種」を見つけ、ヒアリングで「芽」を育て、ビジネスとして「花」を咲かせる。

この一連の流れを意識することで、まちづくりはより実践的で持続可能な活動へと進化していきます。

ポイントはビジネスの担い手がすべてに関わること

ここでポイントとなるのが、ビジネスを具体化する人がワークショップもヒアリングも行うということです。

これを一貫で担わないと2つのデメリットが発生します。

1つは、情報の分断です。

他の人が担っても、引き継ぎはもちろんできると思いますが、完全ではありません。

その場の雰囲気や引き継がれていない情報があとになって活きてくるといったことも多々あります。

もう1つがより重要なのですが、ワークショップやヒリングを通じた対象者との関係づくりです。

地域で活動をするには、地域の人たちとのつながり、信頼関係が非常に大切です。

これがないと、いかに優れたビジネスアイデアであっても、受け入れられません。

ワークショップやヒアリングはこれからビジネスを行おうという人と地域の人たちが関係性を築く良いチャンスにもなります。

誰を担い手にするのかを決めるのは行政

ここで担い手を誰にするかというのをあらかじめ決めておかなくてはいけないという問題があります。

ここは行政側で決めるしかありません。

というのも、民間の人が勝手にビジネスをやるのであれば、行政と関係性を持たなくても勝手にやるからです。

こういったビジネスをやりたいという想いを持っている人にするのでも良いですし、他の地域で経験のある人でも良いと思います。

大切なのは、その人がやりきるかということかと思います。

やりたいことが違った。

行政からの委託がなくなった。

それを理由に終わってしまうのは、非常に残念かと思います。

だからといって、慎重になりすぎて取り組み自体ができないというのもさみしいですよね。

誰もが本気ですとか、自立した仕組みをつくりますということは言うのですが、その根底にある想いにフォーカスするのが大切なのではないかと思います。

なぜ、本気でやろうと思うのか。

なぜ、自立した仕組みをつくりたいと思うのか。

その人個人にフォーカスした想いまで聞けると信頼がおけるのではないかと思います。

ビジネス支援において、個別の収益をあげる仕組みまでを行政として支援をするのは難しいかと思います。

行政は公平性の場づくりと、地域の人たちとの関係性づくりの2方向での役割というのが大きいと考えています。

民間でもわからない人は、行政が全然支援してくれないといったことを言う人もいますが、具体的なビジネスノウハウの支援という点では、よろづ支援拠点や中小企業庁など国が無料の相談をしていますし、商工会議所や商工会も支援しています。

ついつい自治体は万能だと思われがちなのですが、強み、弱みはあるので、それぞれがお互いの強みを意識して、適切な関わりができるようになると良いと思います。

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