まちづくり

地方創生1.0と2.0の違いをわかりやすく解説:成果と反省を活かして

前回、地方創生2.0構想を元に、日本の現状と今後地方が取れる唯一の選択肢についてご紹介しました。

今回は、地方創生2.0構想を元にした、これまで10年間の地方創生の反省を活かした、今後の方向性についてご紹介したいと思います。

地方創生のこれまでの成果と反省

成果

成果については地方公共団体の成果と民間企業の成果の2つが挙げられています。

地方公共団体の成果としては、

  • 企業の地方移転による雇用の創出
  • 地域における産官学連携の促進
  • 地方移住への関心の高まり
  • 移住者数の増加など

民間企業の取り組みとしては、全国で数多くの優良事例が生まれたことが言われています。

具体的な事例として

が挙げられているのも興味深いところです。

反省:後回し、不十分な取り組み

一方で、地方創生1.0には反省点もあると言われています。

後回りにされた取り組みとして

  • 機能し得る地域社会や産業構造の再構築と、それを可能にする制度設計に向けた本格的な議論や取組

不十分だったこととして

  • 地域の担い手の育成・確保策、労働生産性の抜本的向上に向けた施策
  • 日常生活に不可欠なサービス基盤の維持・確保といった根幹部分に対する戦略的な対応
  • 若者や女性が地域から流出する要因へのリーチ
  • 国と地方の役割の検討の不足、関係機関等の連携
  • 地域の多様なステークホルダーが一体となった取組

が言われています。

これらの反省を活かして今後取り組むのが地方創生2.0になります。

地方創生 2.0 の6つの基本姿勢・視点

こういった成果と反省を活かしたものが地方創生2.0なのですが、6つの基本姿勢・視点が極めて重要だと述べられています。

簡単にまとめると以下のような表になります。

地方創生1.0 地方創生2.0
考え方 人口減少を止める 人口減少を前提とする
ターゲット 多世代 若者や女性
分野・領域 個別領域 異なる領域の結合
デジタル 当時の技術 最新技術
人のあり方 地方への人の流れをつくる 都市と地方が補完し合う共生
事業展開 市町村の現場主導 優良事例の普遍化

人口減少を正面から受け止めた上での施策展開

地方創生 1.0 では、人口減少に歯止めを掛けるとの考え方の下、東京圏から 地方への移住施策や、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる施策など、人口減少や少子高齢化等の課題解決の取組が中心に行われました。

地方創生 2.0 では、当面は人口・生産年齢人口が減少するという事態を正面から受け止めた上で、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策を講じていくものになります。

若者や女性にも選ばれる地域づくり

地方創生 1.0 では、地方における安定的な雇用の創出や、若い世代の結婚・ 出産・子育ての希望をかなえること等により、地方への人の流れをつくることで東京一極集中の是正を目指しました。

地方創生 2.0 では、地域に魅力的な職場がないことや、アンコンシャス・バイアス等の対策など、若者や女性にも選ばれる地域づくり重視します。

異なる要素の連携と「新結合」

地方創生 1.0 では、地方における「しごと」づくりの観点から、企業誘致や産業の活性化等により、安定した雇用を創出することを目指しました。

地方創生 2.0 では、異なる分野や領域に属する要素同士を従来にはなかった形で組み合わせる視点を重視します。

その組み合わせにより、生産性を高め、海外への工場移転の抑制や画期的な商品やサービスの創出を行い、地域の所得と雇用の増大を狙います。

こういった組み合わせを新結合と呼ぶようです。

AI・デジタルなどの新技術の徹底活用と社会実装

地方創生 1.0 では、当時の技術が前提のものでした。

地方創生 2.0 では、急速かつ飛躍的に発展するAIを始めとしたデジタル技術を徹底活用し、地域に展開していきます。

都市・地方の共生関係の強化と人材循環の促進

地方創生 1.0 では、移住施策などにより、都市から地方への新しい人の流れをつくることを目指しました。

地方創生2.0では、都市と地方が相互に補完し合う共生関係を強めることで、 我が国全体の持続可能性を高めていきます。

好事例の普遍化(点から面へ、地域の多様なステークホルダーの連携)

地方創生 1.0 では、それぞれの市町村の現場主導で取組を進めることを目指しました。

地方創生 2.0 では、地方創生 1.0 を通じて各地で生まれた優良な事例や、新たに創出される好事例を点で終わらせず、面へと広げる「普遍化」を進めていきます。

その際に各地域の多様なステークホルダーが、主体的に考え、選択し、行動する取組が不可欠だとしています。

 

昨年末の地方創生2.0の基本的な考え方を踏襲したもので、ぜひこの考えを進めていきたいと考えているところです。

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