まちづくり

コミュニティ施設運営が「高齢者福祉事業」になってしまう構造的理由 ―予算・人材・制度をどう乗り越えるか

運営予算がない。

多くの自治体で、コミュニティ施設や公共施設の運営に携わる中で、同じ壁にぶつかっている職員の方は少なくないのではないでしょうか。

予算が付かない。付いても最低賃金に近い

コミュニティ施設の運営予算を見ると、そもそも人件費が十分に確保されていないケースが多くあります。

仮に予算が付いたとしても、時給は最低賃金に限りなく近い水準です。

この水準では、「収入としてあてにした労働」にはなりません。

結果として、

  • 生活費を稼ぐ必要がある現役世代
  • 子育て世代や若手人材

は、そもそも応募の対象から外れてしまいます。

平日日中・週5日勤務が生む「人材の限定」

さらに多いのが、

  • 平日日中
  • 週5日勤務
  • 固定シフト

という勤務条件です。

この条件で安定的に働ける層は、現実的には限られます。
結果として集まりやすいのは、

  • すでに年金収入がある高齢者
  • お金よりも「やりがい」を重視する層

になります。

もちろん、地域を支えてきた高齢者の方々の力は非常に大切です。

しかし、運営の構造として見たとき、これはすでに「高齢者向けの福祉事業」に近いとも言えるのではないでしょうか。

市民から見ると、これは行政の怠慢ではとなってしまうかもしれませんが、私は制度設計当時には想定されていなかった時代変化の問題だと考えています。

新しいことが生まれない負のスパイラル

人材が固定化されると、次に起きるのは次のような状況です。

  • 新しいアイデアが出にくい
  • デジタル技術や新しい運営手法が導入されない
  • 事業が前年踏襲になる
  • 利用者が減る
  • さらに予算が付かなくなる

典型的な負のスパイラルです。
職員個人の努力や熱意だけでは、どうにもならない構造的な問題と言えます。

「時給を上げれば若い人が来るはず」だけど

では、短時間勤務でも時給単価を上げれば良いのでしょうか。

確かに、

  • 短時間
  • 高時給

であれば、若い人や専門性のある人材が関わる可能性は高まります。

しかし、ここでも別の壁が立ちはだかります。

  • 施設オープン時の人員配置基準
  • 常駐要件
  • 委託・指定管理の契約条件

これらを満たすために、結果として「数を揃える」必要が生じ、柔軟な人材活用ができなくなってしまいます。

こうして、新しい風はまたしても入りにくくなります。

打開策は「市民側がリスクを取れる構造」をつくれるか

この構造を打開する一つの考え方は、


市民側(民間側)がリスクを取って新しいことを導入し、その成果(収益)は、リスクを取った人が得られる

という運営のあり方です。

  • 新しい事業
  • 新しいサービス
  • 新しい技術導入

これらは、本来「試してみなければ分からない」ものです。

一方で、市民・民間が挑戦し、そのリターンを得られる構造があれば、

  • 若い人材
  • 専門性のある人
  • 起業志向のある人

が関わる余地が生まれます。

問題は「制度を超えられるか」

ただし、ここで立ちはだかるのが制度的ハードルです。

  • 公共施設の位置づけ
  • 使用許可・目的外使用
  • 収益事業との切り分け
  • 公平性・透明性の確保

これらは、どれも無視できない重要な論点です。

だからこそ、この制度的ハードルをどう整理し、どう超えるかが、これからの行政職員の腕の見せどころになってくるのではないでしょうか。

そして、ここで聞こえてくるのが、そもそもそういった考えをする人がいないという声ですね。

せっかく行政側でそういう場を用意しても、手を挙げる、しかも自分の身銭をきって挑戦する人が出てこないのではないかという思いが出てくるのではないでしょうか。

そこまでしてやる必要があるのかと。

少なくとも、私はチャレンジしたいと思っています。

私が思っているのですから、地域にもきっといるはずです。

コミュニティ施設は、単なる「場所」ではなく、地域の未来を試す「実験場」にできる可能性を秘めています。

その可能性を閉じてしまうのか、開くのか。

制度設計当時は考えられていなかったケースかとは思いますが、行政の財政が厳しくなった現在、こういったちょっとした方向性の修正はとても大切かと思います。

チャレンジしてみたいという方、ぜひお声かけください。

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