団体の特徴として、地域に基づいた地縁型のコミュニティと扱う内容に基づいたテーマ型のコミュニティがあるというのはまちづくり分野においては認識されていることかと思います。
地縁型のコミュニティは自治会などで、活動内容は多岐にわたります。
参加の条件はその地域に関係することです。
一方、テーマ型のコミュニティは地域は関係なく、どこにいる人でもそのテーマに関心があれば参加できます。
たとえば、環境問題や貧困問題といったものです。
個々の活動が多様化する中で、地縁型のコミュニティよりもテーマ型のコミュニティの方が活動がしやすいという流れがこれまでのものですが、最近ではそのテーマ型のコミュニティも疲労が見えてきました。
それは、高齢化です。
バブル後の1990年代に立ち上げられた団体もすでに30年が経過していて、立ち上げ当初30代だった人は60代になっています。
そして、そういった歴史のある団体が抱えている多くの問題が新しい人が入ってこないことです。
このままでは活動が継続できなくなってしまう。
その原因と解決法について述べたいと思います
なぜ組織は高齢化するのか
時が経てば立ち上げ当初の人が年を取っていくのは当たり前です。
組織として高齢化をする原因は、中心となる人が高齢化することにあります。
特にボランティア組織となると、構造的に高齢化する仕組みになっていることを明らかにしたいと思います。
定年がない
当たり前かもしれませんが、仕事とは違うので定年がありません。
そのため、続けたい人はずっと続けられるというのが活動の魅力でもあり、それが団体にとってのデメリットになるということもあります。
特に年長者や長く活動を続けている人に対して引退を勧告するのは難しいでしょう。
仕事であれば成績で一目瞭然のため本人の自覚出てくるのかもしれませんが、ボランティア活動となるとかなり厳しいのではないでしょうか
そうして、年齢が高い人が残り続け、その人たちにとって居心地の良い組織であり続けます。
新しい人、時代に組織を合わせない
一概に年齢が高いから組織の害悪になるというわけではありません。
しかし、年齢から考えて、その人たちが先にいなくなるのはこの世の摂理です。
そのため、新たに入ってくる人や時代に合った組織に変わっていく必要があります。
しかし、多くの場合はこれまで行ってきた取り組みを継続することが目的となっていて、新たな人の意見というのは聞き入れられにくいというのが実際です。
人が入ってくる仕組みがない
口では若い人が入ってこなくてと言っているものの、広報をしていなかったり、募集をしようと動いていないこともあります。
自分たちではオープンなつもりでも全く知らない人からすると入りにくいということも多いのではないでしょうか。
受け入れる側としても体制が求められます。
活動の動機はニーズではなく、ホープ
ここが最も根源的な原因になります。
それは、その人が活動をはじめた動機はニーズではなく、自身の想いからであるということが多いからです。
もし、ニーズから始めたのであれば、ニーズが変化すればニーズに応じて活動を変化させると思います。
しかし、多くの人は、自分がやりたいか、やりたくないかを基準に活動をしているのではないでしょうか。
ニーズがあっても、自分がやりたいことでなければ続けるのは難しいと思います。
お金をもらえるなど、仕事であれば別かもしれませんが。
ボランティア活動の動機は、お金ではなく、自己満足です。
この自己満足が達成されなければボランティア活動をする意味はなく、仕事をしようとなってしまいます。
お金を基準としては仕事が最も効率が良いので、かなわないからです。
しかし、残念ながら組織を継続させることは、自身がやりたくないことを実施する必要があります。
組織に入ったときは楽しかったのに、役職に就いた途端に楽しくなくなる。
それは、プレイヤーとして活動している間は自身の好きな取り組みだけをやっていた人が、役職という組織を背負うことで、組織のために自分の好きではない取り組みも行わざるを得なくなっているからです。
ここが分岐点で、役職者が組織を優先すれば自身は楽しめないかもしれませんが、組織は継続します。
もし、個人を優先すれば組織は変わらず、という形になるのではないでしょうか。
最近はやりたいことを仕事に、やりたいことをして生きていくというのが社会の潮流になっています。
会社の中にはやりたいことを実現できる組織として環境を整えているところもありますが、多くの組織はそこまでには至りません。
これからは組織配置を考える際に、能力よりも志向が優先され、志向による組織づくりというのが意識されてくるのではないかと思います。