まちづくり

まちづくりの始め方|最初にやること3つと、絶対にやってはいけないこと

まちづくりに興味を持ち、「何か自分にもできることがあるのではないか」と動き始める人が増えています。

しかし、意気込んで動き始めたものの、「そもそも何からやればいいのか?」で立ち止まってしまうケースも少なくありません。

また、動いてはみたけど、すぐにつまづくというのもこれまで多く見てきました。

つまづくポイントは概ね決まっています。

ここでは、まちづくりを始めるときに 最初にやるべき3つのステップ と、意外かもしれませんが 最初はやってはいけないこと をお伝えします。

どれも実践的な内容なので、すぐに取り組むことができると思います。

① まず、そのまちの「課題がどこに位置づけられているか」を知る

まちづくりは「まちの課題と向き合うこと」から始まります。

ただ、課題は人によって見え方が違います。自分が感じている課題が、そのまちの公式な課題と一致しているとは限りません。

そこでまず見るべきは、自治体が作成している「総合計画」や「地方創生総合戦略」 といった行政計画です。

そこには、そのまちが今どんな状況にあり、何を目指しているか、どの課題を重要と捉えているかが、公式に整理されています。
ここを読み解くことで、

  • 行政が今注力しているテーマ

  • 行政が見落としているテーマ

  • 自分が取り組む余地がある領域

が明確になります。

「好きだから」「課題だと思うから」だけで動くと独りよがりになりやすい。
まずは、まち全体の文脈をつかむことが最初の一歩です。

② そのまちの「強みと魅力」を3つに絞る

課題だけを見ると、まちづくりは重たく感じてしまいます。

しかし、まちには必ず「良いところ」「可能性」があります。

市政要覧、総合計画、観光パンフレット、住民アンケート結果などから、そのまちの強みや特徴をリストアップしてみてください。

そのうえで、「自分自身が良いと思える魅力」を3つに絞り込んでください。

なぜ「3つ」なのか?

それは、活動を続けるうえで「軸」がブレなくなるからです。

  • 歴史的な特徴

  • 地理的な特徴

  • 自然環境

のように、他がすぐに真似できない魅力を3つ決めると、「何を伸ばしていくか」「何を大切にするか」が明確になり、自分の活動にストーリーが生まれます。

③ 「自分だけでできること」から始める

まちづくりというと、「大きなこと」をしなければいけないイメージがありますが、最初から大きなプロジェクトを立ち上げる必要はありません。

むしろ、最初は小さくていい。

自分ひとりで完結するレベル がちょうど良いです。

  • SNS でまちの魅力を発信する

  • 気になる空き家を見に行く

  • 近所のお店で話を聞く

  • 散歩して気づきをメモする

こうした小さな一歩でも、積み重ねると必ず変化が生まれます。

イベント的なものを実施したいと思う方も多いと思いますが、最初から10人以上集めようとは思わないほうが良いと思います。

そもそもまちに関心を持っている絶対数が少なく、またリーチできる方法もわからない中で多くを集めるのは非常に難しいからです。

小さな行動は “将来の自分が目指す姿” につながっていきます。

「今は小さくても、この一歩は未来への助走だ」と思えると、モチベーションが長続きするのではないかと思うので、将来の目指す姿も考えておけると良いかと思います。

では、「最初にやってはいけないこと」とは?

行政に相談に行くこと。特に「お金の相談」をすることです。

意外かもしれませんが、まちづくりの初期段階で行政に提案を持ち込んでも、ほとんど話は前に進みません。

なぜなら行政は、一市民の「思いつき」と「公共の公平性」 を区別しなければならない立場にあるからです。

税金を使う以上、実績のない個人のアイデアにお金を投じることはできません。

「税金を払っているのだから、自分の考えることにも使ってほしい」と思う人もいるかもしれません。

しかし、自分が納めている税は自治体全体の財源からするとごく一部です。

もし、自分の意思で用途を指定したい場合は、「寄付」 という形で応援できます。最近は税額控除もあり、負担は大きくありません。

小さくスタート、時間がかかることを認識する

最初にやること 理由
① 行政計画を読んで文脈を知る 独りよがりにならないため
② まちの魅力を3つに絞る 活動の軸を明確にするため
③ 小さな一歩を自分だけで始める 続けられる形で始めるため
やってはいけないこと 理由
行政に最初から提案・資金相談に行く 公平性の観点から、実績のない段階では受け入れられない

まちづくりは、特別な資格がある人だけができるものではありません。

「自分がこのまちを好きだ」と思えた人なら、誰でも始められます。

一方、だからこそ継続するハードルが高く、時間もかかります。

大切なのは、大きく始めないこと。小さく、深く、続けること。

あなたが動き始めることで、まちは確実に変わり始めます。

それはきっと、あなた自身の生き方も豊かにしていきます。

その取組自体が楽しいという活動であれば、無理なく続けられるのではないでしょうか。

無理をしないことが大切かと思います。

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