行政

行政職員が身につけるべき経営感覚とは-赤字黒字の収支だけではない-

民間感覚を行政に活かさなくてはいけないということが言われてきました。

私もそれが必要だと言われていたので、身に付けられればと思っていました。

行政の運営は経営感覚が必要だということも言われてきました。

経営感覚というのは、3つの段階があるかと思っています。

というのも、民間と公務員の感覚の違いがあるので、それを意識していかないと公務員の理解も進まないのではないか。

そもそも私自身がその感覚を身につけるのに多くの時間がかかってますので、その過程も含めて共有できればと思います。

ステップ1 赤字か黒字かを判断できる

まずは基本的な部分です。

赤字か黒字かということが判断できるということです。

収入より支出を引いてプラスであれば黒字、そうでなければ赤字なので、決算状況を見れば一目瞭然かとは思います。

ただ、そこから細かく見ていくと、収入はどういう見込みで、支出はどういう見込みでという想定があるはずで、そこがどういうものかといったところまで意識がいく必要があるかと思います。

行政が事業を行う上では、事業の判断を行う必要がありますが、審査の中では事業の審査というよりは、企業の規模の審査というのが大きくものを言っていたのが従来ではないかと思います。

それは、事業の判断は行政では難しいので、体力のある大企業に任せれば潰れる心配はないだろうということになるのかなと思います。

この段階だと事業性というよりは、企業規模での判断が中心かと思います。

ステップ2:事業計画がわかる

次のステップとしては、この事業性がわかるという点です。

私自身、民間の立場になって、民間ではいかに収入をあげていくかということが事業計画であるということを知って、衝撃を受けました(笑

行政の立場のときは、何を実施するかが事業計画であると思っていたわけですが、民間の場合はいくらの収益が出るかという数字が事業計画でした。

お金が入らなければ継続ができないので、民間からすると当たり前と言えば当たり前ですが、公務員としては自分の給料は必ず出るものだと思っていますので、事業に使うためのお金はもちろん必要ですが、それがなくても人さえいればできる事業というものも多いわけです。

そのため、収入のことは気にせず、自分が何をやるかに集中ができるというのが公務員の特徴です。

事業を行っていく中では、人件費も含めた費用を上回る収入を生む必要があり、そこをいかに見えるようにしていくかがポイントになります。

自分自身で作れるようになるというよりは、根拠として何が必要かということがわかるようにしていくことが大切かと思います。

収支計画では、数年後に黒字になりますという事業でも、その根拠がどこにあるのか、そこまでしっかり見ないと当初の見通しと違ったということが起こりがちです。

現状、行政の補助金事業でスタートするものについて、事業者はその補助金で何ができるかを説明して、それがなくなった後にどう続けるかということまではしっかりと作っていないことがほとんどです。

今後はそこまで説明できるようにすることがスタンダードになっていくと思います。

事業者もこのあたりはしっかりと考えていますということを必ず答えてきますが、本当に続くものになるのかを判断できるようになると良いと思います。

もちろん、事業なのですべてがうまくいくとは限らない部分がありますが、普通は民間では自分の資金で取り組みを行う中で、3年や5年行政のお金によって活動を行うものということで、考え方としてはかなり恵まれているとも言えます。

儲からないから行政事業として補助金で運営するんだという考え方ももちろんありますが、それで終わってしまっては効果としては限定的です。

また、事業者の提案の中には、その後ボランティア、地域の人たちの自主的な活動の中で続けますといった提案もありますが、その人がいなくなってしまったら終わりなので、やはりビジネスとして継続できる見通しをつけることが大切かと考えています。

ステップ3:事業展開の見通しが持てる

単体の事業としての収支が見えてきた後は、それをどう展開していくかまで見据えておく必要があると思います。

というのも、その事業単体だけでは、成長に限界があるからです。

たとえば、個人事業主の人がその事業を地域とともにずっとやっていくという見通しで手を挙げたとします。

その人は経験を積むことができますが、その事業だけであれば、追加で人を雇用することができません。

そうすると、その人がなんらかの理由で事業ができなくなった際に困ることになります。

特に人口の少ない自治体だと、その事業だけをずっとやってもらえれば良いという意識を持ちがちですが、それ以外の事業への拡大を前提としない事業の継続はないと思ったほうが良いかと思います。

特に事業規模が数人レベルのものだとなかなか厳しいのではないでしょうか。

地方に移住する人は、無理のない暮らし、自分が生きていけるだけの収入があれば十分という人が多いです。

そういう人が地域を担うことになると、その当初はうまくいくかもしれませんが、10年、20年と経った時に停滞が訪れると思います。

ある程度規模が大きくなれば、その雇用を守るといった観点でも新たな取組を行おうという圧力が出てくる気がします。

身の丈で運営を行っていくという考え方もありますが、地域の継続性という点では、そのノウハウを他の地域にも活かして、それによってさらに地域に還元するといった方向性の方が、結果として結果として地域のためになるのではないかと考えています。

民間側として、まちのためにこれ以上の取り組みは行わなくて良いと考えるのは地域にとってのリスクだと思いますし、行政側としても、新たな事業を展開しようとしない事業者に対しては危機意識を持った方が良いのではないかと思います。

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